研究実績の概要 |
研究初年度は、成人における社会経済的地位(世帯年収・最終卒業学校など)と週1回以上の運動・スポーツ実施率の関連を検討した。 本研究は、笹川スポーツ財団が実施・管理するスポーツライフ・データ(2014年、2016年、2018年)の3ヵ年分のデータを用いた横断研究である。運動・スポーツ実施は、週1回以上(年52回以上)と定義した。社会経済的地位の変数には、世帯年収、最終卒業学校及び職種を用いた。目的変数を運動・スポーツ実施、説明変数を社会経済的地位、調整変数に潜在的交絡因子(年齢、在住する都市規模、世帯人数、Body Mass Index)としたポアソン回帰分析を行い、調整済みPrevalence Ratio(PR)及び95%信頼区間(95%CI)を算出した。なお全ての統計解析は、性・年代により層化して行った。 本研究の解析対象者は7,608人(男性:3,772人・女性:3,836人)であった。男性では全ての年代で、最終卒業学校が大学・大学院(Reference)より中学・高校で運動・スポーツ実施者が有意に少なかった(例:男性20-39歳の調整済みPR 0.83:95% CI 0.73, 0.94)。男性65歳以上と女性65歳以上では、職種が自営業・家族従事者(Reference)よりその他(主婦・主夫等)で有意に運動・スポーツ実施者が多かった(例:男性65歳以上の調整済みPR:1.33,95%CI:1.17, 1.53)。女性では全ての年代で社会経済的地位と運動・スポーツ実施の関連が異なっていた。女性20-39歳では職種と運動・スポーツ実施に有意な関連があり、女性40-64歳では世帯年収と最終卒業学校で有意な関連が認められた。 このように、社会経済的地位と運動・スポーツ実施の関連は性・年代によって異なることが明らかになった。
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