研究課題/領域番号 |
20K19579
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松下 宗洋 東海大学, 体育学部, 講師 (20758594)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スポーツ格差 / 健康格差 / スポーツ実施率 / 社会経済的地位 / 子ども |
研究実績の概要 |
昨年度は成人における社会経済的地位(世帯年収、最終卒業学校、就業状況)とスポーツ実施の関連を検討してきた。今年度は、子どもにおける運動・スポーツ実施状況と保護者の世帯年収との関連を検討した。 本研究は、笹川スポーツ財団が実施した「子ども・青少年のスポーツライフ・データ2019」のうち、4-11歳のデータを用いた横断研究である。目的変数は1年間あたりの運動・スポーツ実施回数とし、合計実施回数、指導者ありの実施回数、指導者なしの実施回数を算出し、それぞれ解析に用いた。説明変数には保護者の世帯年収(5群:400万円未満,4-600万円未満,6-800万円未満,800万円以上,わからない&未回答)を用いた。統計解析には、クラスカルウォリス検定を行った。なお全ての解析は、性・就学状況(4群:男子未就学、女子未就学、男子小学生、女子小学生)に層別解析を行った。 解析対象者は,統計解析に使用した変数に欠損のない1,518人(男子未就学:170人,女子未就学:162人,男子小学生:608人,女子小学生:578人)であった。1年間あたりの運動・スポーツの合計実施回数(指導者あり+指導者なし)においては、全ての性・就学状況において保護者の世帯年収による有意差はなかった。また指導者がいない運動・スポーツ実施回数においても、全ての性・就学状況において保護者の世帯年収による有意差はなかった。一方、指導者のいる運動・スポーツ実施回数は、男子未就学、男子小学生および女子小学生において、保護者の世帯年収で有意に異なり、世帯年収が低いグループで少ない傾向にあった。 今後は、多変量解析による潜在的交絡因子の調整や、運動・スポーツ実施についてカットオフ値を用いた解析、またスポーツ種目や所属するスポーツ組織についての解析が必要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の遅延の原因は、1)研究代表者のその他の業務の多忙、2)研究遂行に想定以上に時間を要したことにある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、既存のスポーツライフ・データを活用し、成人および子どもの運動・スポーツ実施と社会経済的地位の関連の年次変化を検討していく。またスポーツライフ・データでは検討が不可能だった社会経済要因がある場合には、適宜調査を行い、スポーツ実施との関連を検討することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の遂行の遅れに伴い、学会発表や論文発表が遅れている状況である。次年度分の使用計画として、データ解析を進め、学会発表や論文発表を行い、その学会参加費や論文発表に使用する計画である。また解析の結果、スポーツライフ・データの解析では明らかにできなかった社会経済的要因については適宜調査を行う予定である。
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