研究課題/領域番号 |
20K19589
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研究機関 | 横浜商科大学 |
研究代表者 |
谷中 拓哉 横浜商科大学, 商学部, 講師 (00781262)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 野球 / スイング / 腹斜筋群 / MRI / T2値 |
研究実績の概要 |
野球の打撃において体幹部は回転運動や力学的エネルギーの伝達部位であり、その役割は重要である。インパクト前のバットはほぼ水平面に上で回転するため、水平面上の動きとして体幹部の回旋はバットを加速させるうえで欠かせない動作である。体幹部の回旋は主に左右の腹斜筋群によって生み出される。腹斜筋群は内腹斜筋と外腹斜筋によって構成されているが、筋線維の走行が異なるため、同側に付着している腹斜筋でも生じさせる回旋方向は異なる。そのため、スイング中の体幹部の回旋にどの腹斜筋が主に貢献しているのかはわからない。 これまで筋電図を用いて、外腹斜筋と内腹斜筋の筋放電を調べた研究はあるものの、脂肪下にある外腹斜筋やその外腹斜筋よりも内部にある内腹斜筋の活動を正確に定量できているかは疑問である。この問題を解決する方法として、MRIによってT2強調画像を撮像することが挙げられる。T2値は筋収縮によって算出された代謝産物の量を反映する値であるため、どの筋が良く活動したかを定量することができる。また、MRIでは身体内部の筋も撮像できるので、筋電図のような問題が生じえない。 そこで本研究では野球の打撃動作を対象として、スイング中に生じる体幹部の回旋動作がどの筋によって生み出されているのかを明らかにすることを目的としている。MRIによって撮像が可能なT2強調画像を用いて、腹斜筋群のスイング前後のT2値を算出し、その変化を調べた。大学野球選手およびアマチュア野球選手計21名を対象に、100試技のトス打撃を行なわせた。その結果、全ての腹斜筋群においてT2値が高まったことが示された。すなわち、スイング中の腹斜筋群はある特定の筋が活動しているのではなく、全ての筋が活動していることが示された。この知見は、スイングスピード向上や傷害予防のためのトレーニングに役立てることができるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究論文として、海外の雑誌へ投稿中であるが、執筆作業や追加分析等に時間を費やしてしまったため、研究として完了していない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
まずは投稿中の論文が受理されるように、査読修正作業や追加のデータ分析等を行なっていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の英文校正費や投稿料として使用する予定である。
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