本研究の計画当初は、片脚立位姿勢を達成する制御メカニズムについて全身の関節間協調の観点から解明することを目的としていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響や機材の不具合などにより、データの収集が大きく遅れている。一方で2022年度よりバレエダンサーを対象に代替機材を使用してデータを取得する機会を得たので、研究計画を変更し以下の研究を実施した。 2023年度は、2022年度に実施したプロバレエダンサーを対象とした両脚立位姿勢および片脚立位姿勢保持中のデータ収集について、新たに2名のプロバレエダンサーのデータを収集することができた。現在、前年度と合わせて5名のデータの分析を行っており、学会発表および論文投稿へ向けてデータを処理している最中である。 また、2022年度に引き続き、トウシューズ着用時の片脚つま先立ちでのシューズ内の足趾に作用する圧力分布の計測法について検討を行った。4名のバレエダンサーを対象に再現性を検討し、足趾に作用する圧力は個人間差が大きいものの、個人内での再現性が高いことが示された。次に、外反母趾を有する3名のバレエダンサーを対象に、トウセパレーター装着が足趾の圧力分布に及ぼす影響を検討した。習慣的にセパレータを使用しているダンサーでは、母趾や第5趾に作用する圧力が減少したことから、セパレータはより広範囲に影響を及ぼし外反母趾の症状を軽減する可能性が示唆された。
|