本研究は,大学体育バドミントン授業受講者を対象に,競技経験がストローク動作に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. まず,技能ルーブリックを用いた技能の自己評価と競技経験の関係性について検討した.分析の結果,過去の競技経験5水準(バドミントン,打具操作,球技種目,非球技種目,運動経験無)による違いが見出され,スマッシュにおいて,バドミントン群だけでなく打具操作群と球技群が運動経験無群よりも有意に高かった. 次に,競技経験と実際の動作との比較を行った.分析の結果,スマッシュでは,手関節においてバドミントン群がすべての群よりも有意に小さく,打具操作群が運動経験無群よりも有意に小さい値を示した.肘関節においては,バドミントン群がすべての群よりも有意に小さく,運動経験無群はすべての群より有意に大きな値を示した.さらに肩関節おいてバドミントン群が打具操作群以外よりも有意に大きく,運動経験無群はすべての群よりも有意に小さい値が示された.次にクリアでは,肘関節においてバドミントン群がすべての群よりも小さく,打具操作群と球技群は運動経験無群よりも有意に小さい値を示した.肩関節においてバドミントン群はすべての群より有意に大きく,打具操作群と球技群は運動経験無群よりも有意に大きい値が示された.最後にドロップでは,手関節においてバドミントン群はすべての群より有意に小さく,打具操作群は運動経験無群よりも有意に小さい値を示した.肘関節では手関節と同様の結果に加え,球技群が運動経験無群よりも有意に小さい値を示した.さらに肩関節においては,バドミントン群は球技群以外よりも有意に大きく,打具操作群と球技群は運動経験無群よりも有意に大きい値が示された. これらの結果から,技能上達させるためには,飛んでくるシャトルとの距離感を掴む練習や,打具(ラケット)操作を向上させる練習の必要性が示唆された.
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