研究課題/領域番号 |
20K19612
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ID柔道 / 生涯スポーツ / リハビリテーションスポーツ / スペシャル・ニーズ |
研究実績の概要 |
本研究はスペシャル・ニーズがある対象者及び30才以上の中高年や高齢者に応じた指導法に焦点を当てながら「ドイツにおける生涯スポーツとしての捉え方」を問題とする。本年度はID(ID:Intellectual Disability、知的障害の略語)柔道を中心に、ドイツにおけるインクルーシブスポーツとしての柔道の展開とその現状に関する資料の収集と整理を行い、得られた研究成果を学会発表として公開した。ドイツのID柔道は旧西ドイツにおける戦後のスポーツの価値観の見直しの影響を受けて、1970年代からの学校体育とスポーツクラブを中心とした社会体育への分離や生涯スポーツへのシフトの中で展開してきた。障害者スポーツの展開は1950年代から始まり、現在の「ドイツ障害者スポーツ協会」の母体となった「ドイツ傷痍軍人スポーツ協会」は1951年に発足した。1974年の「リハビリテーション法」は療法の一貫として社会参加や就職への復活を支援するリハビリテーションスポーツを定義したが、その中、柔道を含む武道、武術と護身術が認められなかった。したがって、現在まで至って柔道がリハビリテーションスポーツとして認められた「グループで行う運動活動」の枠組みの中で行われている。ドイツ柔道連盟は2019年、「皆のための柔道:多様性を可能性にする」というインクルーシブスポーツとしての柔道のコンセプトを発足し、その中でID柔道の発展と普及も図っているが、ID柔道の主な問題点と課題としてリハビリテーションスポーツとしての位置づけ、学術研究の不足、指導者養成及びクラス分け、怪我リスク等を含む競技化に関する問題点が残っている。また、オンライン形式の練習会や大会等を開催する試しが見られても新型コロナウイルス感染症拡大の影響で強く制限されてきた柔道活動の実施が、特に対象者への合理的な配慮を求めるID柔道の場合、困難になったといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で国内と海外における研究調査は不可能になったため、研究は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も現場調査が不可能になる可能性が高いため、中高年及び高齢者を対象にする指導法にも焦点当てながら資料の収集、整理と分析を中心に進める予定である。また、オンラインシンポジウムの開催も予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で予定された研究調査の実施が不可能になったため、使用できなかった金額を次年度に使用したい。
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