研究実績の概要 |
子どもの睡眠問題を指摘する報告は、古今を問わず枚挙にいとまがない。それにも関わらず、抜本的な解決方法は、未だ確立されていない。本研究では、「子どもの睡眠・覚醒に関わる諸問題を改善させる方法として、学校現場での仮眠実践が有効であるか否か」を明らかにすることが目的である。各年度の研究計画は、令和2年度:予備調査、令和3年度:短期的な仮眠の効果検証、令和4年度:長期的な仮眠の効果検証であった。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、学校現場での調査を実施することができなかった。このような事情から、現場での実践を後押しするエビデンスを得るために、子どもの睡眠状況と仮眠に対する意識の実態を調査した。対象は、調査への同意が得られなかった者、性別でその他と回答した者を除いた4,833名(男子2,733名、女子2,100名)であった。その結果、「学校のお昼休みの時間に、仮眠ができる機会や環境があったら、仮眠したいと思いますか?」の設問に対して、「はい」と回答した生徒は男子1,900名(71.8%)、女子1,553名(75.5%)、「いいえ」と回答した生徒は男子745名(28.2%)、女子503名(24.5%)であった。さらに、「はい」と「いいえ」の回答者の割合を適合度の検定で比較した結果、男女ともに「はい」と回答した生徒の割合が有意に多いことも確認できた。このような結果を基に、研究協力者や研究協力校との打ち合わせを重ねたが、学校現場での仮眠の効果検証を実施するに至らなかった。
|