暑熱環境下での認知機能の低下は体温上昇のレベルや認知課題の難易度に依存することが知られているが,暑熱環境下では認知課題に利用できる認知資源が制限されるることが認知機能低下の要因の一つと考えられている。また,暑熱環境による高体温は脳血流量を低下させ,脳の神経回路や認知処理を障害する要因となる。本研究では暑熱順化が脳血流量および認知資源を増大させ,認知機能が改善するかを検討した。その結果,暑熱順化によって,平常体温および高体温のいずれの条件においても脳血流量および認知資源に変化は認められなかった。これらを明確にするにはさらなる検討が必要である。
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