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2022 年度 実施状況報告書

経頭蓋脳刺激と超高磁場MRIで解き明かす運動記憶の神経基盤

研究課題

研究課題/領域番号 20K19629
研究機関早稲田大学

研究代表者

濱野 友希  早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 客員次席研究員 (00823254)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード記憶痕跡 / 運動記憶 / 運動学習 / 経頭蓋磁気刺激 / 超高磁場機能的MRI
研究実績の概要

本研究課題の目的は、系列運動学習により形成される系列運動についての記憶痕跡が脳内のどこに局在するかを立証することである。感染症蔓延により当初予定していた経頭蓋刺激実験を行う施設への出入りが制限されたことにより、実施することが難しくなった。そのため2021年度からこれまで行なってきた片手の系列運動学習を、両手の系列運動学習へと展開し、両手学習の際の記憶痕跡を検証するfMRI実験を実施した。両手での系列運動学習を達成するためには、両手を独立して制御するという非系列学習と特定の順序で運動を実行する系列学習が必要である。7テスラMRI装置で計測したfMRI信号の解析により、左一次運動野は両手の非系列学習と系列学習のいずれにも関係する活動変化を示すことが明らかになった。参加者は全て右利きであることから、利き手を支配する一次運動野が両手を使った運動学習において重要な役割を担うことを示唆している。これらの解析結果について11月に北米神経科学会で発表し、国際学術誌への投稿に向けた準備を進めている。
我々の日常生活で行われる手指を用いた動作の多くが両手の協調を必要とする。ヒトの書字のように片手を用いた精密運動は進化的に新しく獲得された能力であり、両手を用いた運動学習の特殊系であるという仮説が存在する。本年度は、この仮説を両手と片手の運動学習の神経基盤を直接比較することで検証する、新たな7テスラfMRI実験を計画した。現時点で5名の参加者による計測を行なっており、来年度前半には必要なデータ取得を完了できる見通しである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年より流行している感染症の影響により、経頭蓋刺激を用いた研究を行うことが困難であった。そのため本研究課題での目的を、超高磁場MRI装置を用いた両手での系列運動学習の記憶痕跡を同定する研究へと転換した。目的を転換することで、緊急事態宣言に伴う移動自粛の影響による遅れを取り戻し、国際学術誌へ報告可能な成果を得ることに繋がった。2020年度はほとんど研究を遂行することが叶わなかった分、2023年度へと期間延長申請を行なっているが、2つ目のfMRI実験も順調に進展しており、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。

今後の研究の推進方策

研究期間を延長しているため、これまでに得た成果を国際学術誌へと掲載することを優先する。これまで機会が制限されていた国内外の研究者との交流を活発化させるため、国内外の学術会議へ積極的に参加し、これまでに報告してきた成果について発信していく。
現在進めている両手と片手の運動学習の神経基盤を直接比較する実験について、年度前半にはデータ取得を完了し、年度後半には国内研究会で成果について発表する。さらに、延長期間であることも考慮し、年度末までに国際学術誌へ投稿できることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

2020年度に研究活動が進められなかったことから、予定していた出張が行えず旅費に残額が存在する。また、当初は東京都医学総合研究所での実験での参加者謝金を執行する計画であったが、研究目的を転換して生理学研究所との共同利用研究としてfMRI計測を行なっている。参加者謝金については共同利用経費から賄うことが可能となり、当初計画からのズレが生じた。次年度使用額については、研究成果を発表するための出張旅費および論文掲載料として執行する。航空運賃や物価高騰によって特に海外出張旅費が高額になっていることを考えると、出張旅費と掲載料だけで次年度使用額の大半が使用されると考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] The left primary motor cortex is a critical hub in bimanual sequential learning2022

    • 著者名/発表者名
      Yuki H. Hamano, Sho K. Sugawara, Masaki Fukunaga, Norihiro Sadato
    • 学会等名
      The 51st annual meeting of the Society for Neuroscience
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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