研究課題/領域番号 |
20K19644
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研究機関 | 藤女子大学 |
研究代表者 |
宮沢 梨花 藤女子大学, 人間生活学部, 助手 (70846857)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ビタミンD / LC/MS |
研究実績の概要 |
ビタミンDの食事摂取基準は、目安量として示されており、摂取量を提言するに必要なデータは十分に存在しないのが現状である。日本人における日照暴露時間、ビタミンDの習慣的な摂取量、血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の相互関係に関するデータが乏しいことから、本研究では血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の測定とビタミンD摂取量を同一対象者で調査し評価することで、望ましいビタミンD摂取量を明確にする。これまでの結果を再解析した結果、過去1カ月間の食事内容を聞く食物摂取頻度調査法(BDHQ)を用いた食事調査より、若年女性の習慣的なビタミンD推定摂取量は5 μg/day程度であると考えられた。血清-25ヒドロキシビタミンD濃度の平均は33.2 nmol/Lであった。これを先行研究で報告されているビタミンDの摂取量1.0 μgあたりで上昇が期待できる血清濃度量に換算すると、血清25-ビタミンD濃度が充足とされる50 nmol/Lまで上昇するには、約14 μg/dayのビタミンDを現在の摂取量に増やす必要があると推定された。 また、高速液体クロマトグラフ質量分析装置 (LC/MS)を用いて食品中のビタミンD含有量を求めるため、標準試料や内部標準、適正なカラム、グラジエント条件等の決定を行った。検討した条件を用いて実際に解析し、習慣的に摂取している食事中のビタミンD含有量を調査していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響があり、新たに血清25-ヒドロキシビタミンD濃度を測定するための採血や、ビタミンD摂取量を調査するための食事調査といったヒト試験を実施することが困難であった。そのため、これまでのデータを本研究の計画に合わせて再解析を中心に行った。 また、これまでのデータの再解析とあわせて、食品中のビタミンD含有量を高速液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)で測定するために、メソット方法の検討に時間を費やした。 上記の理由から、本来の計画より遅れをとっている。
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今後の研究の推進方策 |
食品中のビタミンDは動物由来としてプロビタミンD3、ビタミンD3があり、植物由来としてプロビタミンD2、ビタミンD2が存在する。これらが豊富に含まれている食品は、動物由来では鮭や鯖などの魚介類であり、植物由来ではまいたけやきくらげなどのきのこ類である。ビタミンDの含有量が多いとされる食品を高速液体クロマトグラフ質量分析装置 (LC/MS)を用いて、実際に含まれているビタミンD含有量を定量する。 また被験者が摂取していると考えられる平均的な食事モデルのビタミンD含有量をLC/MSを用いて測定し、正確なビタミンD摂取量を把握する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で、血清25-ヒドロキシビタミンD測定のための採血や、ビタミンD摂取量を調査するための食事調査といった本来予定していたヒト試験を実施できなかった。また、参加した学会がすべてオンライン開催となり旅費の使用がなかった。これらが要因で次年度使用額が生じた。 今後の使用計画としては、高速液体クロマトグラフ質量分析装置で使用する消耗品や測定サンプル等を中心に使用する予定である。
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