研究課題/領域番号 |
20K19651
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 健太郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (20591259)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 経腸栄養 / 迅速投与 / 合併症 / 肺炎 / 下痢 / 嘔吐 |
研究実績の概要 |
当初は急性期脳卒中患者を対象に、入院時、7日後、退院時に体重、血清アルブミン値、筋肉量を測定し、栄養プロトコール使用の有無により臨床データや発症90日後の転帰(modified Rankin Scale)が改善されるのかを検討することを主眼に置いていた。 経腸栄養を必要とする患者にプロトコールを作成する際に、多職種でのカンファレンスを行った。その際に経腸栄養投与に要する時間が、リハビリや検査に費やす時間が多い急性期脳卒中患者にとって問題となる、という議論があり、経腸栄養の投与時間を短縮する投与方法を検討することに、方向性を修正し、研究を立案した。過去の報告では同様の検討が行われていなかったが、脳卒中患者の胃腸機能は保たれているため、シリンジによりショットで投与する迅速投与が可能であると考えた。 後ろ向き試験として迅速投与と通常投与で経腸栄養を行った2群に分けて検討し、下痢、嘔吐、肺炎の3つの合併症の割合を、各群ごとに比較した。 その結果、それぞれの合併症の割合に大きな差はなく、いづれかの合併症を認めた方の割合は、迅速投与群の方が少ない結果であった。本結果は今年に入り論文化し、Journal of the Neurological Sciences誌に掲載された。 以上の結果から、急性期脳卒中患者に対する迅速投与の安全性が示唆された。現時点では後ろ向き検討のみであるため、前向きランダム化比較研究が必要と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当院で本研究を行うに際し、多くのコメディカルが興味を持ち、分担して研究の立案、データ収集を遂行できたため、予定より早く研究結果を出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、経腸栄養迅速投与の可能性を示せただけであり、その有効性を確立できたとは言えない。本研究を論文化し掲載されるところまで終了しており、今後は多施設前向き試験を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
筋肉量測定を予定していたが、現時点で行うことができておらず、来年度使用額が生じた。論文発表により多くの学会発表の機会を頂いており、学会参加とサブ解析論文に要する費用としたい。
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