今後の研究の推進方策 |
2021年度は、疑似加齢マウスを対象とし、通常食群とケトン食群に分類して筋内PGC-1α、ミトコンドリア関連タンパク(COXⅣ, OXPHOS, VDAC, ミトコンドリアダイナミクス)、および神経・神経筋接合部へのケトン食の効果を検証する。疑似加齢マウスについては既存のモデル(D-ガラクトースなどの薬剤誘発性,あるいは加齢促進モデルマウスsamp8など)から選定する。食餌は既報に従いケトン食(糖質0%, タンパク質10%, 脂質90%)、通常食(糖質77%, タンパク質10%, 脂質11%)の割合で作成された食餌を使用する(Newman, et al. 2017, Cell Metab, リサーチダイエット社より既に購入済み)。細胞を用いた実験と同様にミトコンドリア生合成や機能(呼吸機能,酵素活性)、共焦点レーザー顕微鏡を用いた神経筋接合部の構造変化、ウエスタンブロット法による神経成長・栄養因子(MuSK, Dok7, Agrin, LRP4, synaptophisin)などを中心に生化学・病理学的な解析手法を用いる。また、RNAシーケンスを用い、骨格筋内でのミトコンドリア、神経成長・栄養関連遺伝子発現の包括的な解析も実施する予定である。また、ケトン食を摂取することによって、ケトン食がHDAC阻害剤としての筋へ作用するメカニズムを解析する。上述した内容のサンプルを用いて、HDACの抑制により影響を受けるシグナル経路(mTOR, SIRT1など)を中心にウエスタンブロット法によるタンパク質発現量解析、RNAシーケンスによる遺伝子発現解析などをを用い、ケトン食がHDAC阻害作用をもたらすのか、もたらすのであればどのような作用機序なのかを解析する。
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