現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021度は主にマウス若齢個体から摘出した骨格筋組織(腓腹筋、足底筋、ヒラメ筋)の生化学・病理学的解析を実施した。骨格筋の神経筋接合部付近に高発現するDOK7, MUSK, CHRNA1, AGRN, LRP4遺伝子をqPCRによって分析したところ、ケトン食群(KD群)の CHRN1は通常食群(ND群)より有意に高値であった。この結果を踏まえ、タンパク質レベルでの発現量評価や、神経筋接合部構造変化を評価するために現在も分析を進行中である。また、骨格筋湿重量の筋湿重量はND群およびKD群で差が認められなかったが、筋線維タイプや筋線維横断面積に食事介入の差が認められるかを検証することとした。ミオシン重鎖関連遺伝子であるMyh1, Myh2, Myh4, Myh7をqPCRによって分析したが、KD群でMyh7(slow type)が増加傾向であるものの、有意差は認められなかった。 次にウエスタンブロット法にてMHC(fast)およびMHC(slow)のタンパク質発現量の定量評価をおこなったが、MHC(slow)がKD群で増加傾向であったが有意な差は認められなかった。また骨格筋のタンパク質合成や分解に関連するタンパクおよび遺伝子発現を現在分析している最中である。タンパク質分解シグナルであるユビキチン化タンパクに、両群間で有意な差は認められなかった。qPCR法でMuRF1やAtrogin-1の遺伝子発現量を解析した結果、Atrogin-1に有意な差は認められなかったが、MuRF1はKD群で有意な高値を示した。現在はタンパク質合成シグナルであるmTORC1シグナルや、分解に関与するオートファジーの分析を実施している。あわせて、筋横断面積評価として腓腹筋をラミニンで蛍光染色し、顕微鏡下で撮像をおこなったのち横断面積に算出着手した。
|