研究課題/領域番号 |
20K19660
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
三宅 沙知 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (80633859)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 外来化学療法 / 栄養介入 / 消化器がん / 乳がん / ダイエットカウンセリング / がん患者 / 栄養療法 |
研究実績の概要 |
がんに対する治療は安全性、手術成績ともに著しく進歩しており、がん患者の生存率向上に寄与している。しかし、適切な治療が行われたとしても、治療開始時にはすでに多くの患者が栄養状態不良であることが知られている。我々はこれまでに外来がん化学療法中の患者に対して、がん患者向けの栄養アセスメントツール(Patient Generated Subjective Global Assessment:以下PG-SGA)を用いた栄養評価を行ってきた結果、栄養不良と評価された患者は、消化器がん患者では約94%以上、乳がん患者においても約85%以上にのぼり、疾患部位に関係なく早期栄養介入が必要であることを報告してきた。しかし、原疾患、および治療法によっても症状は異なり、個々の管理栄養士の判断で行う介入では、がん患者に対する栄養ケアの質が必ず保証されないことが問題点となった。そこで、外来がん化学療法患者への効果的な栄養介入のプロトコールを作成し、適切な栄養介入の標準化および教育効果の持続を目指した栄養療法の確立を目的とした。 初年度は、身体状況、栄養状態、食事摂取状況等を電子カルテ(看護・栄養記録)および聞き取りにより把握し、欧米での栄養介入効果に関する報告をもとに解析を行った。InBodys10を用いて算出した骨格筋指数より、筋量減少がある群、筋量減少の少ない群に分類し疾患部位別に血液検査データ、摂取栄養素等量、PG-SGAの評価指標を用いて解析したところ、PG-SGAは、栄養不良状態だけでなく骨格筋量減少も反映する可能性が示唆された。現在、更なる解析を行い、より効果的な栄養介入時期も考慮した栄養介入のプロトコール作成に向けて検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19感染拡大による他職種および栄養部との情報共有連携システムの稼働停止に伴い、これまでの体制では継続困難と判断し、川崎医科大学・同附属病院倫理委員会の申請を一旦終了した。したがって、継続した外来がん化学療法患者の測定には至らず、十分な臨床データは得られていない。連携システムの再構築および対応の準備を行っている状況にある。令和3年度~4年度の予定は栄養介入に向けた栄養指導マニュアル(プロトコール)の完成および介入研究であり、それは現在準備を行っているデータ収集ならびに分析の延長線上にある。そのため、遅れを挽回できるように介入手法についても近年の知見を含めて課題を見出し、迅速なマニュアル作成につながるようなデータ解析を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施時期に遅れはあるものの、研究実施計画当初に予定していた通り、後ろ向き研究に切り替え、これまでに蓄積しているデータを活用したPG-SGAの妥当性の把握および効果的な栄養介入時期の検討を試みることを目的に研究を推進する。外来がん化学療法患者のがん腫、有害事象、がんの疾患部位別の栄養状態、体組成の変化に関する特徴といった解析結果より明らかになった知見に基づき、各疾患状態に即した実践可能な栄養介入方法について模索し、研究体制が整い次第介入が行えるよう、新たな倫理申請準備をしておく。解析により得られた知見は学会や学術雑誌にて公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、研究を中断しており、また、成果の公表までには至っていないため、論文執筆における英文校正費用を計上していない。また、研究の進捗がやや遅れているため、令和3年度は研究実施計画に基づき研究を実施し、調査費用として計上する。
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