本研究では、高齢者における生活活動の多様性に着目し、生活活動多様性を評価するための評価指標の開発と、生活活動多様性と要介護状態の前駆状態であるフレイルとの関連を横断的・縦断的に検討することを目的とした。 計画最終年となる本年度は、地域在住高齢者における生活活動の実施パターンを解析し、どのような実施パターンがあるのか、実施パターン別の対象者特性を検証した。 その結果、生活活動の実施パターンは3つのクラスター(低活動群、高活動/仕事なし群、高活動/仕事あり群)に分類された。低活動群では高活動と比べて「ショッピング」、「他者との直接的/間接的交流」、「ボランティア活動」、「孫等の世話」、「介護」の実施率が低かった。低活動群では高活動の2群に比べBMI<18.5の者やフレイル者の割合が有意に高く、MMSEやWHO-5、TMIG-ICのスコアが有意に低かった。 低活動群では主に社会的活動が乏しく、社会的活動を促す取り組みの必要性が示唆された。また、低活動群の特性として人口統計学的因子や医学的因子は他群と大差はないが、心身機能因子が低くフレイル者が多い傾向にあった。このことから、高齢者のフレイル予防において、心身機能が低下し始めた高齢者でも社会的活動を維持できるような支援が必要と示唆された。
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