研究課題/領域番号 |
20K19665
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
栗田 智史 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (00803298)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢者 / 介護予防 / セルフモニタリング / ポピュレーションアプローチ |
研究実績の概要 |
わが国の介護予防について、地域支援事業では従来より健診等で要介護化リスクの高い高齢者を把握して、専門職により運動や口腔・栄養に関する教室指導が行われてきたが(ハイリスク・アプローチ)、近年は、リスク要因を持つ人たちの数そのものを減らす予防的なアプローチが重要視され、地域特性や人的・社会的資源を活かしながら集団レベルで介入を行うポピュレーションアプローチへの転換が図られている。これまでに検討されたプログラムは、参加した個人の要介護リスクを低減させることが報告されているが、人材の確保や教室の場所を要し、状況により制約を受けるものであった。一方で、行動変容技法であるセルフモニタリングは専門家や直接的なサポートを必要とせず、対象者自らが健康を管理するための有効なプログラムとなりうるものである。心身の機能維持、向上に寄与する身体・知的・社会的活動のセルフモニタリングを行えば、活動的な生活につながり、要介護発生のリスクを低下させると考えられるが、これまでにこれらの包括的な活動のセルフモニタリングによる介護予防プログラムの効果は検証されていない。 そこで本研究は、活動記録手帳と歩数計を用いた自主的な身体的、知的、社会的活動のセルフモニタリングにより、心身の機能低下および新規要介護発生のリスクを低減できるのかを検討する。縦断的観察研究により、2016年度に活動記録手帳と歩数計を受け取った746名に対して追跡調査を実施し、活動記録手帳のデータクリーニングを行った上で実施状況や各活動と機能低下、新規要介護発生との関連を検討する。本研究により、汎用性が高く大規模に介護予防を進められるプログラム作成の検討が可能となる。 本年度は2017年度分まで活動記録手帳のデータクリーニングを進め、進行中である。2017年度以降の高齢者機能健診のデータセットおよび新規要介護発生の追跡データと統合し、解析を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画より活動記録手帳のデータクリーニング作業が遅れているが、2021年度内に終える見込みであり、研究の遂行に支障はない。
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今後の研究の推進方策 |
活動記録手帳のデータクリーニング作業を終え次第、解析可能な対象者について認知機能低下、身体的フレイル、および社会的フレイルとの関連を検討する。また、行政より要介護認定情報を取得して、対象者の新規要介護発生を4年間追跡したデータを作成し、活動記録手帳のデータと新規要介護発生との関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の申請時点では、活動記録手帳のデータクリーニング作業を行うスタッフの雇用を計画していたが(人件費)、コロナ禍による所属研究室の業務への影響により、所属研究室常駐の事務員が作業を行うこととなった。そのため、次年度使用額が生じた。
次年度は、当研究の成果発表および関連する学術的情報収集のための学会参加旅費や、オープンアクセス化に係る費用を含めた論文投稿費用として使用する。
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