研究課題
小児肥満は世界的に増加しており、深刻な社会問題になっている。小児肥満は、成人の肥満に関与し、さらに将来のメタボリック症候群や心血管病の発症基盤となっている。将来的にメタボリック症候群や心血管病の発症を抑制するためには、より早期の肥満リスク診断の開発が重要である。マイクロRNAは、約20塩基長の非常に小さい非コードRNAで遺伝子の転写後発現調節に関与している。現在、ヒトには2600種類以上のマイクロRNAが存在すると考えられている。ここ数年、血液など体液中のマイクロRNAは様々な疾患の有用な非侵襲的バイオマーカーとして非常に注目されている。本研究では、臍帯血のマイクロRNA解析を通して、小児肥満のリスク因子となる新たなバイオマーカーを探索した。エコチル調査千葉ユニットセンターにて追跡調査をしている児を対象とし、1.5歳、3歳、5歳時のbody mass indexより肥満高リスク児と肥満低リスク児を抽出した。高リスク群、低リスク群各5名について、臍帯血清マイクロRNAの網羅的解析を行ない、存在量に差のあるマイクロRNAを10個選択した。次に、高リスク群、低リスク群各33名について、これらのマイクロRNAを定量し、比較した。肥満低リスク児と比較し、高リスク児では、臍帯血における、miR-516-3p、miR-130a-3pの存在量が増加していた。また、miR-1260b、miR-4709-3p、miR194-3pの存在量が低下していた。肥満高リスク児と肥満低リスク児では、臍帯血における5つのマイクロRNAの発現量に差が認められた。これらのマイクロRNAは小児肥満に関連する可能性がある。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Journal od Diabetes Investigation
巻: 13 ページ: 1740,1744
10.1111/jdi.13863