研究課題
本研究の目的は、茶カテキン(epigallocatechin-3-gallate: EGCG)の抗肥満作用が腸内細菌叢のdysbiosis改善作用によることかどうかを確認し、その分子機構を明らかにすることである。マウスを用いた動物実験と細胞を用いたin vitro実験を組み合わせて解明する。今年度は腸管における腸内細菌叢やその代謝産物の変化の影響を観察するために大腸組織の網羅的遺伝子解析を実施した。具体的には、C57BL/6雄性マウスへ普通食(Control)、高脂肪食(HFD)あるいは0.32%EGCG添加高脂肪食(HFD+EGCG)をそれぞれ8週間摂取させた。解剖時は大腸を摘出し、遺伝子産物であるRNAを抽出した。網羅的に遺伝子発現を解析するために、大腸マイクロアレイ解析を実施した。その結果、HFD群では消化酵素関連遺伝子、胆汁酸輸送体遺伝子、脂質代謝関連遺伝子やコレステロール代謝関連遺伝子発現が変動していたが、HFD+EGCG群では変化を抑制している結果だった。そのため、EGCGは直接消化吸収代謝に関与し、抗肥満作用を有する可能性が示唆された。一方で、HFD群とHFD+EGCG群を比較して、腸管バリア機能に関連する免疫応答関連遺伝子、腸管上皮細胞関連遺伝子発現にも変化が観察された。そのため、腸内環境改善作用を介した抗肥満作用の間接的な関与も示唆された。大腸組織の粘液層を確認するために、大腸組織をアルシアンブルー染色した結果、Control群と比較してHFD群では粘液層が薄くなるが、EGCGを摂取すると粘液層の減少が抑制されることを確認した。
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Healthcare
巻: 12 ページ: 465~465
10.3390/healthcare12040465
Nutrients
巻: 15 ページ: 2216~2216
10.3390/nu15092216