本研究は、超高齢化地域における介護予防・フレイル予防の取り組みモデルとして、4か年計画により、総合的栄養食生活支援による地域コミュニティづくりの展開を計画してきた。しかし、研究開始直後より新型コロナウイルス感染症の感染拡大が継続して繰り返されており、自治会等によるイベントやサークル活動、コミュニティカフェの運営が実施困難な状況が続いていた。したがって、神奈川県立保健福祉大学の地域貢献研究センター所属の管理栄養士とともに、オンライン会議システムを活用した遠隔の食事相談を定期的に実施してきた。 最終年度には自治会によるサークル・イベント活動が徐々に再開され、体操教室に合わせた栄養講話の実施に取り組んできたものの、横須賀市に協力を依頼する予定であった実態調査も人手の面から実施を見送ってきた。また、地域在住高齢者の低栄養やフレイル対策にかかわる資料、文献の収集および新型コロナウイルス感染症下における地域コミュニティ支援に関する先行事例等の収集は引き続き継続していく。 なお、神奈川県立保健福祉大学地域貢献研究センター所属の管理栄養士らの協力のもと、オンライン食事相談や自治会イベントにおける講話等は今後も定期的に実施し、高齢者の地域コミュニティ支援に関する検討は引き続き行っていくこととする。 高齢化率が50%を超える比較的大規模な地域コミュニティーは日本各地に点在しており、中でも公営住宅はその類型として様々な課題を内包している。人々が健康的な食生活を送るためには食材の入手から準備、喫食、片付け、廃棄までの一連のプロセスを日常生活圏で完結させる必要があり、いずれかに課題が生じることで深刻な栄養・健康問題が生じるリスクがある。高齢者が地域で安心して生活していくために、住民同士の相互扶助とあわせて多様な実施主体による切れ目のない重層的な支援が求められており、本研究がその一助となることが期待される。
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