研究課題
若手研究
ビオチンを欠乏させた母体へのビオチン補給が胎仔の口蓋形成におよぼす影響を検討した。ビオチン欠乏マウスに対して妊娠10日から12日にビオチンを補給すると口蓋裂発生を完全に抑制できることを見出した。口蓋形成初期にビオチンが充足されていることが重要であると考えられる。妊娠13日の胎仔口蓋における結合型ビオチン量は、妊娠15日よりも多い傾向がみられ、ビオチンがたんぱく質と結合することにより口蓋形成に関与している可能性が示唆された。
栄養生化学
口蓋裂は日本人で頻度の高い先天顔面奇形の一つである。しかし、その発生要因および発生機序については十分に解明されていない。口蓋裂の治療の主体は外科的治療であり、根本的治療法は存在しないことから、口蓋裂発生機序の解明および予防法の確立が求められる。本研究では、妊娠10日のビオチン欠乏マウスにビオチンを補給すると口蓋裂発生を完全に抑制できることを見出した。ビオチン欠乏による口蓋裂発生機序を明らかにしていくことで予防法の確立への貢献が期待できる。