研究課題/領域番号 |
20K19683
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
高橋 祐司 北海道医療大学, 医療技術学部, 講師 (60804292)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ApoE-HDL / 脳内脂質代謝 / アストロサイト / アルツハイマー / 老化 |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒトの培養アストロサイトをApoE-HDLによって刺激を行い、細胞内脂質代謝にどのような変化が生じるのかを明らかするため、ApoE-HDLとApoA1-HDLを用いてヒト培養アストロサイトに対する比較実験を行うものである。1)脂質含量の異なるApoE-HDL刺激は、細胞内脂質代謝に影響を与えるのか2)アストロサイトからのコレステロール引抜き量は、ApoE-HDLとApoA1HDLで差があるのか3)酸化ApoE-HDLは、アストロサイトの生存率と細胞内脂質酸化に関与しているのかを明らかにすることを目的としている。 令和3年度は、健常人血液から分取したApoE/ApoA1-HDLの脂質含量変化が、ヒト培養アストロサイトの細胞内代謝にどのような影響をあたえるのか、コレステロールの引抜き量に差があるのかを確認するため、ApoE/ApoA1-HDL刺激後の細胞内変化の確認をしている。用いた細胞は、アストロサイトの培養株であるU-251MGを用いて各種実験を行っている。 また、ヒトApoE-HDLとApoA1-HDLの分手法はすでに確立しているが、超遠心分離後の透析作業をフィルターを用いた方法に変更し分取時間の短縮を行い、HDL自体の酸化を防ぐ方法へと改良を行った。これにより、従来3日かかっていた分取時間を2日に短縮することが可能となり、HDLの酸化を抑えより生体内に近い状態で実験が行えるような手法に変更した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養アストロサイト(U251MG)が存在する脳脊髄液中のタンパク・脂質濃度と、血中のApoE-HDL濃度が異なるため、負荷する際の至適濃度の最適化に時間がかかっている。そのため、当初の計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
培養アストロサイトの表面レセプター別のApoE-HDL取り込み率を明らかにする。また、酸化ApoE-HDL取り込み経路と細胞障害の確認を行う。ApoE-HDLの酸化修飾にはCuSO4を当初想定していたが、文献調査等によりFeSO4による酸化修飾の手法が行われていたため、それらの方法においても検討を行う。 酸化ApoEを取り込んだ細胞の影響を解析には、刺激後の細胞内の脂質代謝関連遺伝子の確認、細胞毒性・生死判定をWST-1で行う。脂質代謝に関わる遺伝子発現に変化がない場合は、細胞内炎症マーカー(TNFα, TGFβ1, IL-1)や、酸化・抗酸化の遺伝子発現を確認し(GR, CAT, HO1)、別角度からの有用性の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報収集のために計上していた国内学会・国際学会の参加旅費が感染症流行のために、中止・オンライン開催となったために余剰金として生じた。本年は、可能であれば国際学会への参加に活用する。また、本年度は細胞実験が主となることから、高コストの実験が控えているので、有効に活用する。
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