研究課題/領域番号 |
20K19691
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
吉子 彰人 中京大学, 教養教育研究院, 助教 (70825124)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 筋細胞内脂肪 / 磁気共鳴分光装置 / 筋代謝機能 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
今年度は,本実験に向けた予備実験を実施した.まず磁気共鳴分光装置 (MRS) を用い,下腿の筋 (外側・内側腓腹筋,ヒラメ筋) における筋細胞内脂肪・筋細胞外脂肪の測定を行った.過去の報告では約4人に1人の割合でMRSの解析エラーが生じることから (Yoshiko et al. 2022),測定回数および測定部位の慎重な検討を行った.若齢男女2名を対象に測定を実施したところ,いずれの対象者も筋細胞内脂肪の測定が可能であったが,単一筋内における値のばらつきを認めた.そこでMRSの測定を1つの筋に対して2回実施することを確認した.さらにMRSは1回あたり30分の測定時間を要することを確認し,対象者の負担も考慮した結果,対象の筋を内側腓腹筋に限定することとした. 次に筋代謝機能において,先行研究をもとに測定のプロトコルを確認した後,若齢男女6名を対象に測定を行った.すべての対象者から値を得ることができたが,解析の結果が先行研究と大きく異なった.その原因の解明のために,測定プロトコルの見直し,方法論を確立した研究者 (Dr. Ryan, University of Florida) へのデータ確認の依頼,および再実験を行った.その結果,先行研究を支持するデータを取得することができた.今後は本実験として対象者の数を増やしていくとともに,高齢者を対象とした測定ができる環境を整え,高齢者での測定を実施する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は本実験を行う設備や環境を整えることができた.しかしながら,予備実験の段階で先行研究と大きく異なる結果となったため,その理由の検討および値の解釈に時間をかけた.それにより本実験のデータを取得できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
予備実験で得られた問題点を加味しながら,今後は本実験を実施し,筋細胞内脂肪,筋代謝機能,筋量などのデータを収集する.さらに,得られたデータを論文で発表できるように,データの解析,データの統計処理や論文の執筆を進める. 現在,新型コロナウイルスの感染拡大によって,高齢者に対する実験の実施が難しい状況である.今後の感染状況・対策状況を注視するとともに,感染防止措置を取りながら,高齢者を対象とした実験を実施する予定である.万が一,そのような対応でも実験の実施が難しい場合は,若齢者でのデータを検討することで,本研究の目的である「筋内脂肪と筋代謝機能の関係」を明らかにすることができると考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は本実験を行うことができなかったため,被検者謝金や旅費が生じなかった.来年度は本実験を実施する計画を立てており,これらに係る助成金を使用する予定である.
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