研究課題/領域番号 |
20K19693
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
橋本 彩子 京都女子大学, 家政学部, 講師 (70781813)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 亜鉛欠乏 / トランスポーター / 栄養 / ZIP4 / ZNT1 |
研究実績の概要 |
マウスHepa細胞を用いた「ZIP4の発現促進因子のスクリーニング系」により複数の香辛料や種実類の抽出物にZIP4発現促進効果を見出し、さらに、これらが細胞内亜鉛レベルを増加させる効果を示すことを明らかにした。見出した抽出物について、ZIP4の発現量を増大させる作用機構の解析を進めた結果、いずれもZIP4の分解を抑制する作用を持つことが明らかとなった。 これらの食品抽出物などに含まれる低分子化合物ライブラリー200種を用いて、ZIP4の発現量を増加させる活性成分の候補因子を検討した。その結果、強い活性を示す低分子化合物5種類の同定に成功した。この低分子化合物のうち3種は、香辛料サンプルに含まれる化合物であり、特に1種の低分子化合物では低濃度においても活性が見られ、濃度依存的に活性が強くなることを確認した。また、他2種の低分子化合物は比較的類似した構造をとっていることから, これらの類似物質にさらに強いZIP4の発現促進活性が見出される可能性が考えられた。 マウスHepa細胞を用いて見出した因子が、ヒトZIP4に対しても発現促進効果を示すかどうかを検討するための解析系を構築した。Caco2細胞を用いてDox依存的なヒトZIP4 誘導発現株を樹立し、ZIP4の発現促進効果を確認するとともにZNT1の発現量の変化を検討した。一部の因子については、ヒトZIP4にも発現促進効果を有し、同時にZNT1の発現量も増加させる効果を見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ZIP4の発現量を増加させる因子について低分子化合物ライブラリーを用いて、有力な候補因子を見出しているが、この検討に時間がかかっており、ZIP4を増加させるメカニズムの解析が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
見出した食品抽出物、低分子化合物によるZIP4またはZNT1発現量増大の作用機構について詳細に解析するため、ZIP4やZNT1のmRNA発現量の変化や、局在について明らかにする。ヒトZIP4を導入したCaCO2細胞を、トランスウェルに培養し、同定した因子による頂端膜のZIP4と側底膜のZNT1の発現量の変化を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた実験に関わる機器・消耗品の納入に変更があったことにより、次年度使用が生じた。次年度の実験に関する機器・消耗品入に当てる予定である。
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