研究課題
若手研究
本研究では、脛骨神経およびヒラメ筋の生存・修復因子のクロストークおよび退行因子(アポトーシスと酸化ストレス)の加齢に伴う動態を生化学的に解析し、退行を網羅的に検証することを目的とした。しかし、高齢ラットの作成に2年を要し、その後に全サンプルの解析が膨大であったことから、神経サンプルのみの解析となった。脛骨神経の加齢性退行メカニズムとして、加齢に伴う神経組織内における酸化ストレスの増加により変性タンパク質の増加とアポトーシスの関与が考えられた。
健康科学
高齢者の転倒は、廃用症候群や認知症を併発させるイベントとして社会問題になっている。近年、末梢神経退行と転倒に関連があると報告されているが、末梢神経退行の生化学的メカニズムは縦断的に明らかにされていない。本研究の成果は、高齢者の転倒に起因する末梢神経退行の予防・改善の一助となる。すなわち、従来からの主要な転倒予防・改善策である筋力強化に編重した概念から脱却し、末梢神経退行の機序に応じた予防・改善策の開発に対して先駆的な役割を果たすと考えられる。