研究課題/領域番号 |
20K19702
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
中奥 由里子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, リサーチフェロー (60847929)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症 / 脳MRI / 画像バイオマーカー / 早期診断 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、脳MRIを用いた大脳白質・灰白質の定量解析を組み合わせ、ApoE遺伝子多型などの被験者基本情報を含め、機械学習の手法を用いて、脳形態・脳機能を総合的に評価できるモデルを開発し、認知症の発症前段階の検出に貢献することである。 令和2年度は、宮崎県延岡市において、脳MRI撮像と認知機能検査を行うために必要となる、具体的な脳MRIの撮像プロトコール、取得する問診項目、認知機能評価スケールについて、自治体関係者とディスカッションを行い、手続きを進めた。 さらに脳MRIの画像解析環境の整備を行い、国立循環器病研究センターの既存の診療情報(軽度認知障害(MCI)49名、認知症22名)を用いて、大脳灰白質の定量解析を行った。MCI、認知症は、National Institute on Aging-Alzheimer’s Association (NIA-AA)の診断基準に従った医師の診断により定義した。その結果、大脳萎縮の指標が有意に認知症と関連することが明らかとなった。また、海馬萎縮の指標が、MMSE, Alzheimer's disease Assessment Scale(ADAS)などの認知機能検査スコアと有意に相関した。これらの結果は、大脳灰白質の定量評価が認知機能の予測において有用であることを意味する。令和3年度は拡散テンソル画像を用いて、白質の微細構造についても定量評価し、脳MRI画像から得られる複数の画像バイオマーカーを統合し、脳を総合的に評価できるモデルを構築する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、国立循環器病研究センターの既存の診療情報を用いて、脳MRI画像に画像解析アルゴリズムを用いて、大脳灰白質の定量解析を行った。大脳萎縮の指標が有意に認知症と関連すること、海馬萎縮の指標が認知機能検査スコアと有意に相関することを明らかにし、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大のため、宮崎県延岡市の研究対象者への問診によるベースライン調査が実施できていないため、令和3年度に予定している脳MRI撮像と認知機能検査の際に、問診も合わせて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は、新型コロナウイルス感染拡大のため、宮崎県延岡市の研究対象者への問診によるベースライン調査が実施できなかった。令和3年度に予定している脳MRI撮像と認知機能検査の際に、問診を合わせて実施する。
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