研究課題/領域番号 |
20K19705
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
佐々木 毅志 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50834446)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サルコペニア / オートファジー / 骨格筋 / Fyn |
研究実績の概要 |
骨格筋量調節には増殖メカニズムであるmTOR経路、萎縮メカニズムであるユビキチンープロテアソーム経路が関係することが知られているが、オートファジーの関与についての報告はまだ少なく、不明な点も多い。近年、非受容体型チロシンキナーゼの一つであるFynを過剰発現したマウスにおいてサルコペニア様の白筋優位の筋量減少が観察され、オートファジー活性の変化が関与していることが報告された。しかし上記報告は非生理的なモデルであるFyn過剰発現マウスを用いており、Fynがどのような機序でサルコペニアを惹起するかについては不明な点が多かった。本研究計画では、野生型およびFynノックアウトマウスを用いて一次性・二次性サルコペニアモデルを作成し、Fynがサルコペニアを惹起する因子であるかどうか、ならびにオートファジー活性との関連についての理解を深めることを目的としている。
前年度において、二次性サルコペニアモデルとして尾部懸垂による後肢非荷重モデルを作成し、Fynノックアウトマウスでは野生型と比較して筋量減少が軽度であり、オートファジー活性の低下を免れ、筋萎縮関連遺伝子の発現も上昇していない事を確認した。
当該年度においては、前年度に確認されたFynノックアウトマウスでは廃用モデルにおいても野生型と比較して筋量減少が軽度であることに、筋肉におけるIL-6発現上昇が関与している事を明らかにした。また下肢骨格筋切片の染色標本を作製し、ノックアウトマウスの廃用モデルにおいて筋線維タイプのスイッチングが起きている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野生型、Fynノックアウトマウスを用いた廃用モデル(尾部懸垂)における検討は概ね完了した。Fynの作用が全身への作用によるものか、局所(骨格筋)における作用かについては検討が出来ていない。
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今後の研究の推進方策 |
Fynの作用が全身における作用か局所の作用かを調べるためには、骨格筋のみにFynを過剰発現(あるいは局所でノックアウト)した際にコントロールおよび廃用モデルにおいて起こる変化を確認する必要がある。これらのために、エレクトロポレーションを用いた下肢骨格筋への遺伝子導入(Fyn)を行なうことを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
エレクトロポレーションにより遺伝子導入を用いた検討が必要であり、エレクトロポレーション機器を購入し追加検討を行なう必要が生じたため。
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