本研究計画では、野生型およびFynノックアウトマウスを用いて一次性・二次性サルコペニアモデルを作成し、Fynがサルコペニアを惹起する因子であるかどうか、ならびにオートファジー活性との関連についての理解を深めることを目的としている。 前々年度において、二次性サルコペニアモデルとして尾部懸垂による後肢非荷重モデルを作成し、Fynノックアウトマウスでは野生型と比較して筋量減少が軽度であり、オートファジー活性の低下を免れ、筋萎縮関連遺伝子の発現も上昇していない事を確認した。 前年度においては、前々年度に確認されたFynノックアウトマウスでは廃用モデルにおいても野生型と比較して筋量減少が軽度であることに、筋肉におけるIL-6発現上昇が関与している事を明らかにした。また下肢骨格筋切片の染色標本を作製し、ノックアウトマウスの廃用モデルにおいて筋線維タイプのスイッチングが起きている可能性が示唆された。 当該年度においては下肢骨格筋切片の染色標本の検討をさらに進め、野生型マウスにおいては尾部懸垂によってタイプ2骨格筋線維の断面積が有意に縮小するのに対して、Fynノックアウトマウスでは尾部懸垂を行なってもタイプ2骨格筋線維の断面積が変化しない事を明らかにした。また、エレクトロポレーションにてプラスミドDNA(Fyn)を下肢骨格筋に導入し骨格筋量の変化について検討した。
目的としていた実験が概ね完了しデータが入手できた。主な結果については2023年2月にOrthopaedic Research Society 2023 Annual Meetingにて研究成果の発表を行なった。また英文科学誌に論文投稿を行なった。
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