今後の研究の推進方策 |
事前の申請での検討項目として、高脂肪食の不規則給餌による足場タンパク質の発現リズム変容機構の解析を挙げていた。当初は時計遺伝子にのみ着目して検証を進めていく予定だったが、今後は時計遺伝子以外にも時計遺伝子と相互作用する転写因子に着目して検証を行っていきたい。具体的には、不規則食生活モデルマウスを対象に、異なる時刻(9:00, 13:00, 17:00, 21:00, 1:00, 5:00)に肝臓を採取し、各時計遺伝子やMSPの発現リズムを測定する。発現リズムが変容したMSPに着目し、このMSPによって下支えされるトランスポーターの発現やOleic acid, Palmitic acidやTriglycerideなどの脂質類の輸送活性の概日リズムが、不規則給餌群では破綻しているか否かを明らかにする。 また、高脂肪食+不規則給餌の解析も今後進めていく。高脂肪食+不規則給餌群本来休息すべき時間帯に高脂肪食を摂取するために、活動期では血中の多価不飽和脂肪酸濃度が低く、反対に休息期では飽和脂肪酸濃度が高いものと推測する。そこで、マウスの血液を用いたメタボローム解析を行い、高脂肪食+不規則給餌群で休息期に上昇する栄養素分子(脂肪酸やその代謝産物)を探索する。この栄養素分子をマウス肝臓初代培養細胞に添加して、時計遺伝子の転写活性異常やMSPの膜発現変化を検証する。さらに、この栄養成分を減量させた餌を用いて不規則摂食モデルマウスを作成し、不適切な食事による脂質代謝異常が緩和するか否かを明らかにする。これらの解析によって、高脂肪食の不規則給餌によるMSPの発現変動に関する責任分子の探索と、脂質異常症を緩和するための食事療法に関して検討する。
|