本研究では、発育期審美系女子スポーツ選手を対象に、骨量の増加に関連する食事パターンを明らかにすることを目的としている。2022年度は以下の2つの点で研究を進めた。①望ましい栄養素摂取と関連する食事パターンについて再解析を実施し、得られた成果を論文として投稿した。投稿した論文は、現在査読中である。②骨量増加を評価するための追跡研究のフォローアップデータの集計および解析を行った。 ①の検討については、2021年度に実施済であったが解析方法の見直しや、用いるスコアを追加したうえで再解析を実施した。その結果、食事バランスガイドに基づいたスコア(JFGスコア)に調味料由来の食塩の評価などを加えた修正版JFGスコアで高く評価される食事を摂取することが適切な栄養素摂取に繋がる可能性があることが示唆された。 ②の検討については、中学校のダンス部に所属する女子選手を対象に、2019年7月から2021年12月にかけて追跡調査を実施し、得られたデータの解析を行った。簡易型自記式食事歴法質問票によって得られた食事摂取量の情報から修正版JFGスコアを算出し、対象者を中央値にて2つに群分けした。その2群間で、追跡期間中の骨量増加を比較した。その結果、2群間で骨評価値の変化に有意な差はみられなかった。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果として、修正版JFGスコアは発育期審美系女子スポーツ選手の栄養素摂取状況を評価するスコアとしては有用であるが、骨量増加に関わる食事パターンを評価するスコアとしては十分ではない可能性が示唆された。
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