研究課題/領域番号 |
20K19730
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研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
横路 三有紀 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 講師 (80757188)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ADMA / 高齢者 / サルコペニア / PSQI / 食品多様性 |
研究実績の概要 |
サルコペニアは高齢者の健康で自立した生活を送る高齢者を増加させるためには、サルコペニアの予防や改善に有用な栄養教育アプローチの創出が喫緊の課題である。非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)は、血管内皮由来血管弛緩因子である一酸化窒素(NO)合成の内因性阻害物質であり、血管内皮機能障害を惹起する。興味深いことに、サルコペニアと血管内皮機能が関連することが示唆されている。 そこで、本研究は、血管内皮機能に着目したサルコペニア予防に対する栄養教育プログラムの開発を目指す。 1年目は毎年1回実施する地域在住高齢者を対象とした身体計測会にて、身体計測、血液検査、質問紙調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大によって中止となったため、2020年度の新規データは収集できなかった。そこで、過去に取得したデータを用いて、血中ADMA濃度とサルコペニア、低栄養等との関連を解析した。血漿ADMA濃度は競合阻害ELISA法を用いて測定した。血漿ADMA濃度は、高血圧や腎機能と強く関連することが知られている。本解析においても、血漿ADMA濃度と高血圧罹患、血清シスタチンCで求めた推定糸球体ろ過量は有意な相関を示した。しかし、年齢、体格指数(BMI)、四肢骨格筋指数(SMI)、握力、咬合力などサルコペニア、フレイルと関連する指標と血漿ADMA濃度との間に有意な関連は認められなかった。しかし、血漿ADMA濃度を主観的な睡眠の質(PSQI)スコアとの間に有意な関連が示された。睡眠障害はサルコペニア、フレイルの増悪因子として知られているため、血中ADMAは睡眠の質の低下を介して、将来的にサルコペニアと関連する可能性が示唆された。さらに我々は本年度、地域在住高齢者においてPSQIと食品多様性が関連すること、食品多様性がフレイルと関連することを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
毎年1回実施する地域在住高齢者を対象とした身体計測会にて、身体計測、血液検査、質問紙調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大によって中止となったため、2020年度の新規データは収集できなかった。また、2年目に予定していた地域在住高齢者を対象としたインタビュー調査の実施も困難であると予想される。 しかし、すでに取得したデータや新たな研究フィールドで取得したデータから興味深い結果を得られたことから、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も地域で血液検体を取得することが難しいと考えられる。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえながら、可能な限り身体計測、調査票を再開する予定である。2020年度から様々な社会活動が制限されており、地域在住高齢者にはダイナミックな身体的変化が生じている可能性が示唆される。これまでに取得したデータと合わせ、縦断的解析を進めたい。また、新たな研究フィールドを用いた地域在住高齢者のサルコペニア、フレイル、食習慣の解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言等により、予定していた身体計測会などフィールドワークは実施不可能となった等の理由から、予定した使用額より大きく差異が生じた。2021年度は再開できる活動は様子を見て再開するため、必要に応じて研究費を使用する。
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