研究課題
若手研究
環状ホスファチジン酸(cPA)は動脈硬化予防や変形性関節症病態の抑制等の多彩な生理活性を示す脂質メディエーターであり、生活習慣病や加齢性疾患を制御すると考えられる。しかしながら、その生合成過程・責任酵素は十分に明らかではない。本研究ではリゾホスホリパーゼD型酵素であるグリセロホスホジエステラーゼ7(GDE7)の機能解析を行い、小胞体内におけるcPAの生合成酵素であることを明らかにした。さらに、GDE7の簡便な活性測定法および阻害薬を同定し、生活習慣病治療に向けた基盤を構築することができた。
生物系薬学
cPA生合成酵素としては、血中に存在するオートタキシンが知られている。それに対し、GDE7は小胞体内で働く膜結合性酵素である。細胞内脂質メディエーターの標的は報告が少なく、本研究成果は他の脂質メディエーター研究への応用も期待できる。また、本研究で開発した活性測定系はハイスループットスクリーニングに適用可能であり、GDE7の活性調節を介した生活習慣病や加齢性疾患に対する新規治療法の開発に繋がることが期待される。