研究課題/領域番号 |
20K19742
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 靖明 京都大学, 情報学研究科, 助教 (60735083)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 木幅 / メタ定理 / 数理論理 |
研究実績の概要 |
本研究は木幅を用いた高速なメタアルゴリズムの設計を目指している.この目的のために本年度は様々な文脈において事例研究を行った.具体的にはグラフの2等分割問題,パス詰め込み問題などの最適化問題に対して,入力グラフの木幅が限定される場合に問題が高速に解けることを示した.また.2等分割問題については強指数時間仮説と(min,+)畳み込み和に関する予想を元に最適なアルゴリズムを与えた.木分解を用いたアルゴリズムの設計手法として,列挙問題や遷移問題などの異なる文脈において,グラフの木分解を利用する手法について,既存の研究の調査・検討を行った.木幅が小さいグラフにおいても困難な組合せ問題について,より限定された新しいグラフパラメータを導入し,そのパラメータ化困難性や容易性を網羅的に調査した. また,木幅を用いたメタアルゴリズムの結果として知られるCourcelleの定理について,その論理的な表現能力と問題の可解性について検討を行った.特に,グラフのパラメータの観点で一般化または制限を加えたとき,論理的な表現能力と可解性がどのように変化するかを,既存の結果を中心に調査し,本研究の目的を達成する糸口を掴むことができた.これらの結果は本研究の目標のひとつである,代数的な観点からのメタアルゴリズム構築の近い関係にあることが,既存の近似アルゴリズムの文脈で知られているため,引き続きその方向性からアプローチを行っていくことで目的を達成する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績の概要で述べた,グラフの2等分割問題やパス詰め込み問題に関しては国際会議に採択され,論文誌へも投稿している.また列挙問題への応用についても国際会議に投稿済みである.また,本研究のテーマとは直接は関係していないが,組合せ最適化に「多様性」の概念を導入した問題や既存の研究では難しい列挙問題について効率の良いアルゴリズムの開発に成功し,それぞれ国際会議に採択された.
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今後の研究の推進方策 |
研究成果を発表するために予定していた国際会議は軒並みオンラインでの開催となり,なれない環境出会ったため国際会議等で新しい研究に関して情報を入手することが困難であった.この点を踏まえ,オンラインでも積極的に他の研究者と交流し,最新の研究の動向について調査していく.また,国内の研究者とも頻繁にオンラインで打ち合わせを行っていき,近隣分野の研究と協調しながら進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の影響で参加予定だった国内外の会議がすべてオンラインの開催となったため,旅費の分で次年度への繰越が生じた.
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