研究成果の概要 |
本研究の目的は, 理論計算機科学において知られている動的ネットワークフローを用いて, 実応用に即した避難施設配置モデルを構築することである. 動的ネットワークフローは, ネットワーク各所での横断時間や滞留時間を表現できるので, 実際の災害において重大な問題である交通渋滞による避難時間の遅延を直接的に扱うことができる. 本研究では, 動的ネットワークフローに基づく避難施設配置問題について, 災害発生時の避難者分布や道路閉塞状況の不確定要素を考慮に入れるなど, より現実の問題設定に沿う最適化問題として定式化した上で, 問題の組合せ構造を解明し, それに基づく高速アルゴリズムの開発を行なった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで, 避難計画に対して多くの研究がなされているが, 実応用を目指す研究はシミュレーションを用いる定性的アプローチが中心である一方, 理論研究の多くは現実への適用を真には考慮できていない. 本研究は, 現実の避難計画を策定するための理論基盤構築を目指している点で, 世界的に類を見ない独自性を有している.
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