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2023 年度 実施状況報告書

非線形半正定値最適化理論の深化と機械学習への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K19748
研究機関成蹊大学

研究代表者

奥野 貴之  成蹊大学, 理工学部, 准教授 (70711969)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード中心パス / ニュートン方程式の正則性 / パレート解集合上の最適化 / 2段階最適化法 / 2段階勾配法
研究実績の概要

2023年度では、大きくわけて2種類の研究を行った。
1つ目の研究は非線形半正定値最適化問題に対する主双対内点法の収束速度に関連する研究である。主双対内点法は中心パスとよばれる摂動されたKKT点から構成されるパスを近似的に辿る手法であり、内点法の収束性能は中心パスの性質に大きく左右される。前々年度における研究において、マンガサリアン・フロモヴィッツ制約想定, 狭義相補性, 2次の十分条件という既存よりも弱い条件下のもとで滑らかな中心パスが存在することを示した。主双対内点法では、中心パスを数値的に辿るために中心パスの近傍でニュートン方程式を構成し、ニュートン方程式の解をもとに次の反復点を決定する。その中で連立1次方程式であるニュートン方程式の係数行列の中心パス付近における振る舞いがKKT点への収束速度を決定づけることはよく知られた事実である。2023年度には、中心パスのある近傍でこの係数行列が正則であることを証明した。最終的な目標は上で述べた3条件下で主双対内点法の超1次収束性を証明することであるが、証明した事実はそれへの大きな一歩になっている。
2つ目の研究は、多目的最適化におけるパレート解集合上の最適化問題に関する研究である. 構造物の設計など多くの現場では, パレート最適解を列挙した後にその中より意思決定者の選好情報に基づいて最終的な解が決定されるが,この問題はパレート解集合上の最適化問題として定式化することができる.この問題を多目的最適化問題を下位問題として持つような 2 段階最適化問題と見なし, それを解くために勾配法を基にした新たなアルゴリズムの提案を行った. 将来的には半正定値制約がつけた問題にも対応できるアルゴリズムに発展させる計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

非線形半正定値最適化問題に対する主双対内点法の中心パスの存在性とニュートン方程式の正則性に関する研究に関して、当初は海外での国際発表を行い、それを基にディスカッションを通して研究をさらに深化させて行く予定であった。ところが、covid19の影響と現所属大学における勤務予定と国際会議の予定があわず海外発表をすることができなかったため。

今後の研究の推進方策

2024年度は海外発表を行い海外研究者との議論を通して、目標である主双対内点法の超1次収束性の理論的証明の完成を目指す。そのためにはまずニュートン方程式の解の変動とバリアパラメータの0への収束速度の関係についてより深く解析していくつもりである。
次にパレート解集合上の最適化については、引き続き2段階最適化に基づいたアプローチをさらに推進してくつもりである。その中でまずは下位問題である多目的最適化問題に簡易的な制約条件を付加した状態でも対応できるようなアルゴリズムについて開発を行っていく計画でいる。

次年度使用額が生じた理由

2023年度は, 授業等学内業務等のために当初予定していた海外出張や国内出張に行くことが叶わなかった。2024年度は調整の末、すでに国際学会および国内学会出張が確定しており, 旅費に多く予算を使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Local convergence of primal-dual interior point methods for nonlinear semi-definite optimization using the family of Monteiro-Tsuchiya directions2024

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Okuno
    • 雑誌名

      Computational Optimization and Applications

      巻: 17 ページ: 677-718

    • DOI

      10.1007/s10589-024-00562-y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Stable Linear System Identification with Prior Knowledge by Riemannian Sequential Quadratic Optimization2024

    • 著者名/発表者名
      Mitsuaki Obara , Kazuhiro Sato , Hiroki Sakamoto , Takayuki Okuno , Akiko Takeda
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Automatic Control

      巻: 69 ページ: 2060-2066

    • DOI

      10.1109/TAC.2023.3318195

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Complexity analysis of interior-point methods for second-order stationary points of nonlinear semidefinite optimization problems2023

    • 著者名/発表者名
      Shun Arahata , Takayuki Okuno , Akiko Takeda
    • 雑誌名

      Computational Optimization and Applications

      巻: 86 ページ: 555-598

    • DOI

      10.1007/s10589-023-00501-3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MIXED-INTEGER DC PROGRAMMING BASED ALGORITHMS FOR THE CIRCULAR PACKING PROBLEM2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshiko Ikebe, Satoru Masuda, Takayuki Okuno
    • 雑誌名

      Journal of the Operations Research Society of Japan

      巻: 66 ページ: 153-175

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Analysis of the primal-dual central path for nonlinear semidefinite optimization without the nondegeneracy condition2024

    • 著者名/発表者名
      奥野貴之
    • 学会等名
      シンポジウム:錐線形計画とその周辺
  • [学会発表] パレートフロンティア上の最適化に対する2段階勾配法2024

    • 著者名/発表者名
      北爪裕美、奥野貴之
    • 学会等名
      第20回応用数理学会研究部会連合発表会

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公開日: 2024-12-25  

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