研究課題/領域番号 |
20K19760
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研究機関 | 長野県立大学 |
研究代表者 |
鶴田 靖人 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 助教 (30866017)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ノンパラメトリック統計 / 方向データ / 方向統計学 / カーネル密度推定 / ノンパラメトリック回帰 / バイアス修正 / テキストデータ / シリンダーデータ |
研究実績の概要 |
2021年度は、「シリンダーデータのための局所多項式回帰」に関する研究論文が国際学術誌に採択された。本研究は角度データ(例 風向)を説明変数に持ち、実数直線上のデータ(例 風速)を被説明変数に持つノンパラメトリックな回帰モデルの推定精度を導出した。提案手法は局所多項式回帰と呼ばれる手法であり、多項式の次数を上げることで推定精度を向上できることを証明し、数値実験も理論を裏付ける結果を示した。また、「ローズダイアグラムのビン幅推定法」に関する研究成果も順調に進み、1件の学会発表を行った。この研究成果によってローズダイアグラムのビン幅をデータの特性に応じて適切に設定できるようになると期待される。また、研究成果は国際学術誌に投稿できる段階である。「多次元方向データのためのカーネル密度推定法のバイアス修正法」を2通り考案した。具体的には、実数空間上におけるバイアス修正法である一般化ジャックナイフ法を適用することで多次元方向データのためのカーネル密度推定法のバイアスを修正できることを理論的に証明した。提案手法は一次元方向データ(円周上のデータ)のバイアス修正法を多次元の場合に一般化したものでもある。また、数値実験を行った結果も提案手法は推定精度を向上させることを示している。テキストデータも多次元方向データとして扱うことができるため、本研究の成果はテキストマイニングの研究に応用することが期待できる。「多次元方向データのためのカーネル密度推定法のバイアス修正法」の研究は、2件の学会発表として公表した。学会発表での意見交換を参考にしながら提案した2つの手法の推定精度などの特性を比較し、これらの特性の違いを調べている段階である。今年度中に研究成果をまとめて国際学術誌に投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度、2021年度を通じて国際学術誌での採択論文が1編しかない上に、「多次元方向データの平滑化パラメータの推定法」に関する研究に着手できなかったために研究の進捗状況はやや遅れていると判断した。ローズダイアグラムのビン幅推定法という当初予定していなかった研究を行ったことや今年度2編の論文を国際学術誌に投稿予定であることを考慮すると研究の進捗の遅れを今年度中に取り戻すことは可能だと考える。
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今後の研究の推進方策 |
「多次元方向データのためのカーネル密度推定法のバイアス修正法」に関して研究成果をまとめて国際学術誌に論文を投稿する。「多次元方向データのためのカーネル密度推定法」の平滑化パラメータの推定法の推定精度を理論的に明らかにすることを目指す。1次元方向データの平滑化パラメータ推定法に関する理論研究を多次元の場合に一般化することで多次元の場合にも平滑化パラメータ推定法の推定精度を導出できると予想している。また、多次元データではカーネル密度推定法は「次元の呪い」と呼ばれる次元が上がると推定精度が減少する性質があることが分かっている。主成分分析などの次元縮約法を用いることで次元を縮約し、高次元方向データのカーネル密度推定法の推定精度を向上させる研究を行う。次元縮約に関する研究とバイアス修正法を組み合わせることで高次元方向データのカーネル密度推定法の推定精度をより向上させることができると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は学会がオンライン開催となったために旅費の経費が発生せず、今年度に繰り越して使用することになった。繰り越した直接経費は参考書籍の購入に主に使用する予定である。 今年度は学会の参加費と旅費、参考書籍等の物品購入費、共同研究者との研究打ち合わせのための旅費などに使用する予定である。
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