初年度である本年度では、提案方式の実装・評価環境の構築および提案方式の優位性の検証を行った。まず、評価環境の構築について、データセンタ向けFPGAカードが接続されたx86サーバマシンを2台用意し、それらを同一ネットワークに接続して、更に代表的な仮想化ソフトウェアであるKVMハイパーバイザを導入した。これにより、仮想FPGAインスタンスを提供するクラウドサーバを想定した評価環境を構築した。次に本環境において、マイグレーション機能のないFPGAサーバにおけるアプリケーションの性能評価を行い、提案方式の優位性を検証した。具体的には、FPGAを利用する複数のアプリケーションを同じFPGA上で時分割方式で実行した時の処理時間を解析した。その結果、アプリケーションの切り替え時に必要となるFPGA回路の動的再構成によって、切り替えごとに数秒単位のオーバヘッドが生じることが確認された。このオーバヘッドは、提案するマイグレーション方式を実現することで低減することができる。これにより、提案方式によってFPGAアプリケーションの実行性能を向上できることを明らかにした。 申請者の海外転勤に伴い、本研究課題は今年度で一時中断となるが、帰国後に再開する予定である。再開後は、本年度に構築したクラウドFPGAサーバ環境を用いて、引き続き提案方式を実現する機能の設計やシステム実装、評価を進める予定である。また、得られた研究成果を国内研究会や国際会議で発表・報告する予定である。
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