研究課題/領域番号 |
20K19780
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研究機関 | 公益財団法人放射線影響研究所 |
研究代表者 |
小野 悟 公益財団法人放射線影響研究所, 情報技術部, 部長 (50818309)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ワイヤレスセンシング / LPWA / LoRa / Wi-SUN / ZETA / 狩猟 |
研究実績の概要 |
研究初年度については,計画書に記載した通りデータの収集と解析およびワイヤレスセンシングにおけるセンシング技術の基礎検討を行った.前者においては,静岡県浜松市天竜区の可猟区域において,動体検出をして逐次撮影が可能なトレイルカメラを可猟区域内における監視対象となる大型鳥獣の生息区域に設置し,それらの生息分布状況について,主に行動時間帯,個体数について調査を行った.併せて,研究協力者である静岡県西部猟友会に所属するハンターの協力を得ながら,対象となる林野を徒歩で巡回しながら,鳥獣の足跡などを元にして生息区域および個体数の調査を行った.これらの調査結果を分析し,対象地域における大型鳥獣の生息分布状況を概ね明らかにすることができた. 後者においては,林野において効果的に機能することができるワイヤレスセンシング技術について,主にLPWAを用いた技術動向と既存製品群に関する調査を行った.LPWAサービスの種類は大別するとキャリアが提供する電波を用いるパブリックネットワーク系と利用者が準備した機器から発出する電波を用いるプライベートネットワーク系の2種類となる.本研究においては,限定された区域内の監視による対象物の検出を目的としていることから,プライベートネットワーク系の技術であるLoRa,Wi-SUN,ZETAなどの技術を適用することが望ましいことがわかった.また,これらの技術を用いたセンシングデバイスは多様な製品群が提供されていることから,費用対効果に鑑み,今後本研究の遂行にあたって最適なデバイスを選定していくこととした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画策定時においては,研究初年度においてデータ収集と解析を計画していたが,コロナパンデミックの影響を受け,県境を跨ぐ移動が制限されたことがあり,2020年度の狩猟期間において,当初想定していた出猟回数を満たすことができず,十分なデータ収集を行うことができなかった.しかしながら,限られた出猟回数を通じて得られたデータを基にして生息分布状況を作成することができたことは大きな成果であると考えている.猟犬の行動を可視化するためのアプリケーションの開発の進捗に関しては,基礎データの収集と行動解析のアプリケーション開発の実装までは完了した.また,ワイヤレスセンシングアプリケーションについては,当所の計画よりも若干遅れがみられるものの,基礎技術の検討とセンシングデバイスの選定フェースまでは順調に進捗しており,得られた知見をベースとしたセンシングデバイスの導入と実装を鋭意進めていくことを計画している.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は初年度(令和2年度)に得られた知見を元にして,より実践的な取り組みを行う.具体的には,ワイヤレスセンシングデバイスの導入と試験,およびセンシングデバイスを活用した動体検出アプリケーションの開発と実装フェーズに取り組む.コロナパンデミックの終息もしくは低減を期待し,初年度十分に達成することができなかった可猟区における対象大型鳥獣の生息分布状況の調査についても補完的に実施したいと考えている.これらの進捗状況に合わせて,ワイヤレスセンシングデバイスの林野における動作検証を行いながら,デバイスおよびアプリケーション改良のためのフィードバックを得る.
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次年度使用額が生じた理由 |
関東地区(東京・千葉)や関西地区(大阪・名古屋)で開催される大規模なIoTセンサ系の展示会やセミナー等へのオンサイト出席がコロナパンデミックによって困難となり,IoTデバイスに関する実証的な選定を行うことが難しくなったため,初年度はセンサの導入に至ることができなかった.次年度以降,可能であれば前述した展示会等へのオンサイト出席によってIoTデバイスに関する実証的な情報収集を元にした機種選定を行い,次年度使用額をこれらのデバイスの導入経費に割り当てることを計画している.
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