研究課題/領域番号 |
20K19786
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
酒井 和哉 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (80730746)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遅延耐性ネットワーク / クラウドソーシング / 災害復旧 / 分散アルゴリズム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ドローンやスマートフォンなど多種多様な門バイル端末で構成されるマルチホップ遅延耐性ネットワークにおいて、クラウドソース化された救援・復旧タスクを効率的にモバイルユーザに割り当てる分散型タスクルーティングを設計し、災害復旧クラウドソーシングの基盤技術を開発することである。2021年度は、リアルタイム性を持つモバイルクラウドソーシングにおけるタスク割当手法について検討した。既存のタスク割当アルゴリズム問題では、タスクの集合をワーカの集合に割り当てるといったバッチ処理的な環境を想定している。そこで本研究では、随時タスクが生成される環境において、効率的にタスクをワーカに割り当てるアルゴリズムを設計した。タスクの生成はポアソン分布に従うと仮定して、グリーディ手法を用いて部分最適なタスク割当手法を考案した。またワーカのバッファなども考慮し、タスクの生成頻度を入力値として、期限内に与えられたタスクが処理できるかできないかを判定する解析モデルを形成した。性能評価は、シミュレーションによって提案手法の有効性を示した。モビリティトレースとしては、ダートマス大学が中心となって運営しているCRAWDADプロジェクトで公開されているモバイル端末の実レースを用いた。研究成果は国内研究会で発表するとともに、ICDCS2022に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、まずヘテロジニアス遅延耐性ネットワークを定義した。決定的な経路を通るドローンとランダムに移動するモバイルユーザ(モバイル端末)を単一のモビリティモデルで扱うためにランドマークを基にしたモデルを考案した。ランドマーク間の移動は、マルコフ過程によって定量化した。データルーティングは設計したモデルを用いて最適化するとともにドローンが経由する複数のランドマークへのanycast問題へ帰着させた。次年度は、リアルタイム性を持つモバイルクラウドソーシングにおいて、タスクを効率的に割り当てる問題に取り組んだ。タスク生成頻度をポアソン分布、リクエスタとワーカの接触パターンを指数分布としてモデル化し、グリーディ手法を応用してタスク割当アルゴリズムを設計した。提案手法によって、災害復旧の現場でリアルタイムに生成されるタスクを処理することができる。CRAWDADのモビリティトレースを用いてシミュレーションを実施するとともに研究成果を国内研究会並びに国際会議に投稿した。研究課題の遂行は順調であるが、外出自粛を要請されたため、国内研究会発表並びに国際会議での発表が積極的に行えなかった。その結果、旅費が発生せず研究費が余った。研究成果の投稿・発表は来年度以降に行うとともに研究費を執行する。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、これまでに開発したタスク割当手法の性能評価と実験実証に取り組む。具体的には、ドローンやスマートフォンなど多種多様な門バイル端末で構成されるマルチホップ遅延耐性ネットワークを介したリアルタイムモバイルクラウドソーシングの簡易プロトタイプの実装を行う。さらにユーティリティ型のタスク割当問題についても検討を行う。当該問題では、タスクを生成するコストとタスクが完了したときのリワードの差分を考慮しながら、タスク割当アルゴリズムを設計する。言い換えると、タスクを完了させたときのリワードが処理コストより少なければ、タスクを処理する必要がない。システム全体のユーティリティを考慮しながら、モバイルクラウドソーシングを最適化する。性能評価は実トレースを用いたシミュレーションを行い、提案するモデルの正確性を実証する。またAndroid/iOS端末並びにAndroid/iOS端末を搭載したドローン、ワークステーションに提案手法を実装する。プロトタイプの実装によって市販のモバイル端末で提案手法が動作することを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会がオンライン開催になったため、出張旅費に使用する予定であった金額が余った。繰り越した金額は、次年度以降に研究成果発表の出張旅費に使用する。
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