研究課題/領域番号 |
20K19795
|
研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
森岡 和行 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 電子航法研究所, 主任研究員 (80711316)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 航空無線 / 無線マルチホップネットワーク / MIMO / CPM |
研究実績の概要 |
本研究開発では、洋上で航路上における乱気流等の気象情報を共有できるシステムの構築をめざしている。航路上における広域な気象情報を共有することができれば、事前に最適な航路を選択でき燃費削減につなげることができる。通常、気象情報等の有効範囲は時間と場所に局所性があり、衛星を用いてグローバルに共有する必要性はなく、ローカルに共有できれば十分である。そこで、本提案研究では、機上・船上システムからのみ構成できる、低コスト・ローカル情報共有システムの実現をめざす。提案方式の検討は物理層、データリンク層、アプリケーションに分け、それぞれの要素技術について検討する。 本年度は、物理層の評価を行うための準備として、SDR(Software Defined Radio)プラットフォームの選定を行った。選定したSDRプラットフォームは、16x16のMIMO (Multiple Inputs and Multiple Outputs)を評価できるものであり、次年度以降この評価システムを用いて、航空無線に適した変調方式(CPM: Continuous Phase Modulation)やMIMO方式の開発・評価を実施していく予定である。 データリンク層に関しては、シミュレーションにて提案システムの評価を行うための準備を実施した。ネットワークシミュレータ上に航空機の移動や通信モデル・電波伝搬モデルを構築して評価するため、「Flightradar24」と呼ばれる飛行中の民間航空機の現在位置をリアルタイム表示するウェブサービスを利用し、実際の航跡データを用いた航空機移動モデルをネットワークシミュレータへ組み込んだ。ネットワークシミュレータにはオープンソースのns3を用いた。次年度以降、本シミュレータを用いて具体的なプロトコル、アプリケーション等について検討していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であった航空機移動モデルのネットワークシミュレータへの組み込みまで実施できたため、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
物理層の評価に関しては、次年度に選定したSDRプラットフォームの調達、及び提案方式の実装を行い、3年目以降に評価及び改善方式の提案を実施する。 マルチホップネットワークのルーティング方式に関しては、まず既存の4手法AODV (Ad Hoc On Demand Distance Vector Algorithm)、DSR (Dynamic Source Routing Protocol)、DSDV (Destination Sequenced Distance Vector )、OLSR (Optimized Link State Routing Protocol )についてシミュレータにて比較検討し、3年目以降に航空ネットワーク用に改善提案を行う。
|