自律制御システムにおいて外界の情報を取得するためにセンサの需要が高まっている。そのセンサに対して非侵襲的に電磁波を通じて行う攻撃を対象に研究を行った。電磁波を通じた攻撃は外部から電磁波を当て、内部に故障を発生させる注入と機器の動作から発生する電磁波を通じて情報が漏えいする2種の攻撃に大別される。これまでの研究においては、センサに対する攻撃は、特定のデバイスに対して実験室での理想的な環境において攻撃が成立するかどうかに着目していた。それに対して本研究では、攻撃者が変更可能であったり、機器の設計や利用環境に応じて変化する条件について攻撃への影響を明らかにした。 具体的には、電磁波注入に対しては、機器の温度条件により耐性が変化することを明らかにした。これにより、機器の熱設計や夏季の屋外で利用されるデバイスに対してはより厳しい評価が必要となる可能性を示唆した。 電磁波を通じた漏えいに関しては、漏えい源となる素子の周辺の構造により、漏えいの強度が変化することを明らかにした。これにより、漏えいを抑制する機器の設計が可能になり、センサからの測定情報の漏えいや攻撃に必要なタイミング情報の漏えいを防止することが可能となると考えられる。 これらの詳細な条件を明らかにしたことにより、注入と漏えいの両面において、電磁波攻撃に対する耐性を得ることが可能となる。また、注入と漏えいの両面を考慮した研究成果により分野全体における研究の方向性を示すことができたと考えている。
|