研究課題/領域番号 |
20K19808
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 慧智 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 助教 (40846408)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ヘテロジニアスコンピューティング / In-situ可視化 / In-situワークフロー / 資源管理 |
研究実績の概要 |
本年度は,これまでにNEC SX-Aurora TSUBASA (SX-AT) システムへ移植したIOミドルウェアAdaptable Input/Output System version 2 (ADIOS2) とIn-situワークフロー (3次元反応拡散系のシミュレーションとその結果を可視化・分析するアプリケーション群) を活用し,SX-ATシステム上でIn-situワークフローの性能分析とモデル化を実施した.SX-ATはスカラ処理に適したx86プロセッサとベクトル処理に適したベクトルプロセッサを搭載したヘテロジニアスなシステムである. 評価では,シミュレーションをスカラプロセッサとベクトルプロセッサのいずれかで実行した場合を比較した.また,ワークフローを構成するアプリ間の通信方法としてファイルを介する方法とメモリを介する方法を比較した.その結果,出力データのサイズが大きい場合には,シミュレーションをベクトルプロセッサで実行しメモリベースの通信を採用した場合が最もワークフローの実行時間が短いことが明らかになった.一方,出力データのサイズが小さい場合には,ADIOS2に由来するオーバーヘッドのためファイルベースの通信の方が実行時間が短かった.この結果から,ヘテロジニアスなシステムにおけるワークフローの資源割当では,プロセッサの種別やコア数に加えて,出力データのサイズも考慮する必要があることが明らかになった.さらに,3次元反応拡散系のシミュレーションに加えて,格子ボルツマン法に基づく流体力学シミュレーションを移植し,同様の結論が得られた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最新の技術動向を反映して昨年度に想定環境をホモジニアスなシステムから異種のプロセッサを搭載したヘテロジニアスなシステムをへ変更したため,ヘテロジニアスなシステムであるSX-ATへのソフトウェアスタックの移植に時間を要し,当初の計画よりも進捗が遅延している.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度明らかにしたSX-ATシステムにおけるIn-situワークフローの性能特性を考慮し,SX-ATシステムにおけるワークフロー再構成の実現に取り組む.提案フレームワークを完成をさせ,その有用性の評価と研究成果の取りまとめを行う.評価にあたっては,これまでにSX-ATへ移植した3次元反応拡散系アプリケーション,格子ボルツマン法アプリケーション,可視化アプリケーション,ならびにそれらをワークフローとして結合するADIOS2ミドルウェアを使用する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究期間がコロナ禍とほぼ重複しており,海外出張・国内出張の制限によって旅費を使用することができなかった.論文が採択された学会が来年度開催されるため,旅費を繰り越した.
|