本研究は、数値シミュレーションの実用性に寄与する並列反復法前処理の提案を行うものである。従来、並列計算で利用するデータ分割数に依存して反復法前処理の性能低下が生じる問題に対し、対象の問題から得られる固有モードを利用して大域的な情報伝達を行うことで、並列数に依存しない前処理手法を構築した。くわえて、既存手法であるマルチグリッド法やバランシング領域分割前処理に対し、提案手法では利用する固有モードの個数で大域的な解の表現能力を制御できる点で学術的意義が大きい。この成果により数値シミュレーションの実用性が向上し、構造物の安全性評価などへの展開が期待される点で社会的意義は大きい。
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