研究課題/領域番号 |
20K19815
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西口 浩司 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (10784423)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 流体構造連成解析 / 高レイノルズ数流れ / オイラー型解法 / 半陰解法 |
研究実績の概要 |
本研究では,オイラー型構造-流体連成解法を高Re数において複雑構造を有する構造-流体連成問題の解析が可能な手法へ拡張することを目的としている.オイラー型解法は,空間固定直交メッシュを用いる数値解法であり,構造の大変形解析や大規模並列計算に適している.従来のオイラー型解法による構造解析では,樹脂構造のように比較的高い弾性率を有する構造を計算対象とする場合,界面近傍の応力が空間的に振動する数値不安定現象が起こり得る.本研究では,この数値不安定を回避するため,リファレンス・マップ法(RMT)と呼ばれる固体変形計算法を用いた数値解法を構築した.さらに,従来のオイラー型解法による構造解析は陽解法が用いられてきたため,準静的な構造解析では応力波伝播速度に対するクーラン条件に起因する時間増分制約により,実用的な計算を行うことが困難であった.そこで本年度は,界面近傍の応力振動を回避できるリファレンス・マップ法を用いた半陰的時間積分法の定式化・実装し,その妥当性を検証した.定式化としては,左コーシー・グリーン変形テンソルの4階のヤコビアンテンソルを導入することで,運動方程式の応力項を線形化した.提案手法の妥当性を流体構造連成問題のベンチマーク問題で検証を行った結果,提案手法による時間増分制約の緩和効果について最大で約 48 %の計算実行時間を短縮化できるこ とを確認した.また,界面近傍の応力の空間的振動についても,リファレンス・マップ法の導入により低減できることが確認された.これは,リファレンス・マップ法の導入により,流体領域の速度場を用いることなく,固体領域の速度場のみから固体変形テンソルを評価できることが理由である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,リファレンス・マップ法と半陰解法によるオイラー型FSI解法の開発に成功したため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,複雑構造を含む流体構造連成問題における提案手法の有効性を検証する.
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