研究課題/領域番号 |
20K19819
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
藤原 正浩 南山大学, 理工学部, 講師 (30825592)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超音波計測 / アレイ信号処理 / フェーズドアレイ / 音響放射圧 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度までに製作したULFPAT(Ultrasonic feedback phased array tactile display)の試作機に対し、その性能評価を継続的に行った。超音波フェーズドアレイは非常に高い音場生成の自由度があり、センシングにおいても同様に空間感度分布の設計自由度があるはずだが、単一焦点/単一点感度以外の音場/感度分布は非凸な目的関数の最適化問題となり、大域的な最適解を求めることが困難であった。それに対し局所解を求める方法としてLevenberg-Marquardt法などが有効であり、その他にも複数の手法が提案されている。しかし、得られた解の大域的な位置づけや幾何学的なイメージに基づく考察は困難であった。本年度はこの超音波フェーズドアレイによる音場生成問題を、複素多様体上の大域的最適化問題として定式化できることを明らかにし、国際会議(SICE Annual Conference 2023)にて口頭発表した。 また、ULFPATの主目的である刺激位置の妥当性検証について、昨年度発見したサーモグラフィー・カメラに基づくセンシング手法についても、そのメカニズムの詳細を明らかにした。皮膚を音響放射圧により加圧する際、皮膚表面の温度分布が音圧分布を反映しており、それをサーモグラフィーとして確認されることを実験及び熱伝導論に基づき明らかにした。これにより、非常に高い解像度で空間分布が得られ、また時間解分解能も高くリアルタイムで分布を確認できることを確認した。その一方で、皮膚表面の発熱や発汗など、音響照射によるものでない温度外乱が存在する場合、ULFPATによる焦点位置検証が妥当であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はこの超音波フェーズドアレイによる音場生成問題や感度分布設計問題を、複素多様体上の大域的最適化問題として定式化できることを明らかにしたほか、皮膚表面の照射音場分布が表面温度分布に変換される過程を明らかにし、サーモグラフィーによる音場センシングの理論を確立した。その一方で、本年度は所属大学が変わり、これまで使用していた機器や装置などが使えなくなるなど環境が大きく変化したため、予定していた試作機の作製が当初よりやや遅れている。これまでに必要な機器等の準備の目途は立っているため、以後は滞りなく進められる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
特に、現行の超音波フェーズドアレイ装置を改造し、2次元送受信アレイを備える試作機を製作し、性能を確認する。またその設計の際は必要に応じ数値シミュレーションを利用し、気温や気流の揺らぎによる音速の変動など、外乱要素に対する計測の頑健性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定物品の値下がりによる端数であり、翌年度分の必要物品購入に充てる予定である。
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