研究課題
本年度はソフトセンサとソフトアクチュエータを組み合わせたソフトロボットハンドの構築および物体把持タスクを実施した.前年度に試作を進めた液体金属を用いたソフトセンサを内包する屈曲型空気圧ソフトアクチュエータにおいて,物体把持に必要な把持性能を満たすようソフトアクチュエータの構造パラメータをまず探索的に求めた.この結果に基づき対向2指ハンドを試作し,ペットボトルや缶といった日常的な物体の把持が可能であることを確かめた.ソフトセンサには新方式として液体金属と同様の導電性液体であるイオン液体を用いたセンサの試作と評価も進め,これを2指ハンド表面に埋め込んだ.このようなソフトセンサは,単純にソフトハンド表面に埋め込むのみでは接触物体の情報に対して感度が保てないため,わずかな接触力でもセンサが応答するようなセンサの流路形状を探索的に試作した.構築したソフトハンドを用いて,触覚情報に基づき把持物体の識別を試みた.ここではハンドから得られる触覚時系列情報を扱うため,レザバーコンピューティングの一種であるエコーステートネットワークを用いた.2指ハンドに埋め込まれた4つのセンサから得られる触覚情報のみを用いて,ペットボトルや缶,箱といった日常生活に見られる形状やサイズも様々な物体を把持した際の物体識別を試みた.その結果,高精度に物体識別が可能である結果を得た.以上より,提案するセンサ方式によってやわらかなアクチュエータのやわらかさを損なわずに触覚センサを埋め込むことが可能であり,またそこから得られるセンサ情報が物体識別など実応用において利用可能なことを確認した.
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Sensors and Actuators A: Physical
巻: 332 ページ: 113133~113133
10.1016/j.sna.2021.113133