2022年度は前年度までの検討に基づき,車上データ収集システムのデータ収集プロトタイプを実装した.このプロトタイプでは,車上に搭載した2次元測域センサの測距データと,車両の緯度経度座標,車速,方位角,測位誤差を20Hzのサンプリングレートで記録することができる.車両位置の測位間隔(5Hz)に対して,測域センサの出力間隔(20Hz)の頻度が高いことから,直近の測位座標2点からその中間座標を算出することで測域センサが作動したすべての地点の座標を推定する補完測位を実装した. 次いで,開発したプロトタイプを使用して,岩手県において2023年3月に実自動車を使用したデータ取得実験を行った.プロトタイプシステムでは,延べ253km,およそ47.3万レコード,データ量7.6 GiBの測定データを取得した.また,車両の走行状況を記録するための進行方向後方を撮影したビデオ26.9 GiBが取得できた.40 km/hで定速走行した区間では,道路断面方向の測距データは,おおよそ0.56 mごとに取得された. 解析手法の検討を行い,道路基準プロファイルの構築を行った.このプロファイルは.同一区間を走行した複数の非積雪時のトライアルのデータを使用して,近接した座標のレコードをもとに測距データを平滑化し,非積雪時の基準データとして使用される.基準データの生成には,4.4 kmの区間を5トライアルのデータで構築すると,およそ35分所要し,約1700レコードの基準データを算出した.現在はこれまでの取得したデータの解析を行い,ビデオ記録から推定積雪量の差分について検討を行っている. 研究成果の公表については,データ取得の解析結果が出たところで実施する方針としている.
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