研究課題/領域番号 |
20K19827
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
若林 佑幸 東京都立大学, システムデザイン研究科, 特任助教 (80826462)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 音響信号処理 / 複素領域信号処理 / 位相復元 / アレイ信号処理 / 深層学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,音響信号の周波数解析によって得られる振幅スペクトルと位相スペクトルの関連性を考慮した音響信号強調手法の基礎理論構築とその他の音響信号処理への応用であり,情報社会の発展に大きく貢献するものである. 従来の研究では,音響信号の時間周波数解析に基づき,振幅・位相という二つのスペクトルの挙動を利用して各種信号処理の理論・アルゴリズムの構築がなされる.本研究ではこれら二つのスペクトルに深い関連があることに着目した信号処理の理論構築と実験を行うものである. 第二年度では,一点目として,初年度で行った時間・周波数領域における振幅と位相の統計的挙動の関係性を発展させるために,現在様々な工学分野で注目されている深層学習への応用に取り組んだ.本取り組みでは,深層学習と典型的な最適化手法とを組み合わせることで,似たアプローチを取った従来研究よりも位相スペクトルの推定性能が改善することを実験的に確認し,国内会議(日本音響学会秋季研究発表会)にて発表した.また,最適化手法をさらに発展させ,国際学会APSIPAへも投稿し,採択された.この成果と追加実験とを併せ,学術雑誌論文を投稿する準備を進めている. 二点目として,本課題とは別の課題で研究代表者が取り組んだ研究成果技術を振幅・位相推定に応用する試みを行った.本研究は複数のマイクロホンを用いた信号処理において鍵となるステアリングベクトルの推定を行うものである.このベクトルは時間・周波数領域で定義されるため,振幅・位相の値を求めることが重要であり,本課題とは関連がある.別課題の技術との連携により,本課題推進の一助となる実験成果を得た.本成果は国内会議(日本音響学会秋季研究発表会)にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度にてに取り組んだ研究成果をさらに発展させ,近年注目の深層学習と連携し成果を確認できた事が一つ目の理由である.この研究は英文論文誌への投稿に目処が立っており大きな成果と言える. また,当初の予定とは異なるものの,他課題の技術を本課題にも応用できる可能性を示す実験結果が得られたため,応用範囲が拡大された. 一方,初年度から取り組んでいる,振幅と位相の関連性を考慮した複素数領域での音響信号強調手法の基礎理論構築については大きな進捗が得られていないため,予想以上の成果が得られたわけではない.
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況でも記述したとおり,実績一点目に関する2022年度早期の論文投稿を目指す. 実績二点目に関する論文も進めており,2022年度早期の投稿を予定している. また,本年度は特に,振幅と位相の関連性を考慮した複素数領域での音響信号強調手法の基礎理論構築について中心的に取り組み,まとまった結果が出次第,国内外の学会への投稿を目指す.具体的には国内ならば日本音響学会・電子情報通信学会,国外ならばICASSPやAPSIPAなどの著名な査読付き学会である.その後査読付き英語学術論文誌への投稿を目指す.本理論は応用分野が多いことが予想されるため,様々な信号処理への展開が期待できる.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に引き続き,2021年度に参加を想定していた国内外の学会がcovid19の影響で軒並みオンライン開催となり,その参加のための旅費が全く使用できなかったことによって大きく使用額に差が生じた.一部ハイブリッド開催ではあったが,それらにも現地参加できなかった.2022年度から国内の学会をはじめとしてオフライン開催が予定されており,その利用を想定している.
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