研究課題/領域番号 |
20K19830
|
研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
田崎 豪 名城大学, 理工学部, 准教授 (40824660)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ロボットビジョン / 姿勢推定 |
研究実績の概要 |
本研究は、商品に姿勢推定のためのマーカーを貼付することなく、高精度に姿勢推定を行い、商品陳列作業を自動化するロボットの開発を目的としている。陳列作業を頻繁に行うコンビニやスーパーマーケットの商品は三角柱や四角柱、円柱などの単純形状物体が多いため、単純形状物体で姿勢推定を行うことが課題となる。令和二年度は、基本手法の確立と、最終年度で使用するロボットの開発を行った。 基本手法の確立について、単純形状物体の姿勢推定が容易になるよう、物体が棚板と接触している接地面を先に推定することにした。接地面を先に推定することで、姿勢を三次元で推定することなく、接地面上の回転で表現される一次元で推定できる新手法を開発した。形状が三角柱、四角柱の場合、接地面を推定すれば、一次元の回転で三次元姿勢を一意に表現できる。円柱に関しては、側面が接地した場合に、接地面を推定しただけでは、三次元の姿勢を一次元の回転で一意に表現することができない。そこで、円柱の側面に関しては、四角柱と同様に4面で近似し、姿勢を推定することにした。ロボットに搭載予定のカメラと距離センサで既知の三角柱、四角柱、円柱の商品の姿勢を推定させたところ、姿勢推定誤差5度以内で推定できた割合がそれぞれ99.8%、99.6%、99.0%となった。 最終年度で使用するロボットについては、コンビニの商品の陳列作業が行えることを目標にし、ペイロード5kgのアームと積載重量40kgの全方向移動台車を持つロボットを新規開発した。物体把持部は二指グリッパーとし、つまむことで商品の把持を行う。人がコントローラで制御できるようにロボットの制御プログラムを作成し、500mlのペットボトルを把持させて移動させたところ、ペットボトルの落下やロボットの転倒はなく、安定して移動することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和二年度の実施計画であった基本手法の確立と、ロボットの開発は実行できた。ロボットにとって既知の物体の姿勢だけではあるが、高精度に姿勢推定できている。ただし、円柱の側面については、四角柱と同じように4面で近似してしまっているので、来年度以降、ロボットで陳列作業をするうえで近似に問題はないかは検討したい。
|
今後の研究の推進方策 |
令和三年度に実施予定であった、物体検出結果を考慮した姿勢推定を実施する。現在は、姿勢推定する対象以外はカメラの視野に入らない状態で、商品の姿勢推定を行っている。実際の環境では、複数の商品がある中で姿勢が異なる商品を検出し、商品ラベルが見える正しい姿勢に陳列しなおす必要がある。そこで、物体検出を利用し、物体検出結果で姿勢推定できるように、令和二年度の姿勢推定手法を改良する。 また、令和二年度で近似によって対応した円柱については、陳列作業の実現可能性と運用しやすさを考慮して、適切に近似する面の数を設定する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた最も大きな理由は、コロナの影響により、学会での成果発表および、議論ができなかったことにある。令和三年度はオンラインでの発表の場が安定して設けられるようになったので、年度の早いうちに令和二年度の成果発表を行うことで、令和二年度に実施できなかった議論の場を設ける。また、もともと令和三年度に予定していた成果発表については、当該年度予算で使用するため、計画に変更はない。
|