研究課題
初年度のR2年度は、背景の多様性を持たせるデータ拡張の検討に加え、既存方法(Unmaskingによる教師なし異常行動検知手法、人物検知、動的情報及びAEによる異常行動検知手法)を参考に新たに異常検知手法を実装し、Avenueデータセット及びUMNデータセットでの評価を試みた。人物の姿勢情報や歩容特徴を考慮できていない既存方法の不利点を補うため、人物部位セグメンテーションの技術CDCLを用いた歩容特徴の導入及び異常検知のメトリクスとしてVAE(深層学習の一手法)の導入を新たに検討し、Avenueデータセットで最新手法と定性的に同等の解析が可能であることが分かった。R2年度の検討結果を踏まえ、R3年度は各モジュールの有無の条件においてフレームレベルの検知精度の定量的評価を行うことで手法の改良を試みる。また、熟練者による歩容特徴の視覚的認識の理解のため、熟練者・非熟練者・自動処理(CDCL)の3つの条件について、歩容特徴の基礎情報であるシルエット抽出精度と歩容解析精度の評価を開始し、熟練者による視覚的認識の精度の高さが示唆される予備的な結果が得られた。なお、この点に関し、新型コロナウイルス感染症対策のため、当初予定していたアイトラッキングの使用は困難であるため、歩容特徴の認識における熟練者・非熟練者の差の評価に加え、熟練者の認識結果である独自の不振行動検知データセットを用いた解析によりこの点を補う予定である。その他、歩容特徴の要素技術としてフレーム補間、撮影角度依存性の緩和に関し、研究成果が得られた。
2: おおむね順調に進展している
新型コロナウイルス感染症対策のため当初予定していたアイトラッキングの使用は困難となったものの、初年度行うべき既存方法と同等のレベルの異常検知手法を実装できた他、歩容特徴の認識における熟練者・非熟練者の差の評価で補う当初予定していなかった検討ができた。
開発中の異常検知手法において画像、動的情報及び歩容特徴の各モジュールの有無を変化させた際のフレームレベルの検知精度の定量的評価を行うことで手法の改良を試みる。改良手法に関し、フレームレベルの検知精度に加え、時空間レベルの検知精度の評価も試みる。既存のデータベースの問題点として真横から人物を撮影する特定の撮影角度に偏っている点が挙げられるため撮影角度依存性の有無を評価し、真横以外の撮影角度の場合における検知精度を緩和する工夫の導入を試みる。さらに、異常検知の研究におけるデータセット依存性の問題に対し、R2年度検討した背景の多様性を持たせるデータ拡張に加え、学習データの不足を補間するComplementary Learning(相補学習)の仕組みが導入できないかに関し検討を行う。歩容特徴の基礎研究として引き続き、シルエットの認識における熟練者・非熟練者の差の評価について検討を進め、異常検知手法への導入を検討する上記各改善項目において得られた知見を生かす。
新型コロナウイルス感染症対策のため当初予定していたアイトラッキングの使用が困難となった。しかし、その補間として歩容特徴の認識における熟練者・非熟練者の差の評価を遂行して新手法の開発に役立てており、非熟練者の認識(シルエット抽出)の役務作業に次年度使用する。
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ICVISP 2020: Proceedings of the 2020 4th International Conference on Vision, Image and Signal Processing
巻: ICVISP 2020 ページ: No. 17, pp.1-11
10.1145/3448823.3448835