研究課題/領域番号 |
20K19842
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青山 裕美 (中村裕美) 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任准教授 (20774251)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 味覚電気刺激 / 味覚提示 / 味覚制御 / 経皮電気刺激 / 食体験 |
研究実績の概要 |
本研究は電気味覚刺激による味覚制御において、口腔内及び咽頭の任意の位置に任意のタイミングで味覚の提示・増強・抑制の効果を生起させる口腔内味覚総合制御手法を構築するものである。 そのなかで本年度は、研究実施計画1.口腔内並びに咽頭の任意の個所での味覚の提示・増強・抑制:まず、口腔内並びに咽頭の任意の電極位置組み合わせによって、口腔内の異なる箇所に味覚の提示・増強・抑制を行うことが可能かを被験者実験にて調査する、に基づき、口腔内、特に舌上の異なる箇所への味覚の提示を可能にする味覚提示手法の構築と評価を中心に研究を遂行した。
提案では 顎・頬、首など顔付近の皮膚上に複数電極を配置し、その配置した電極のうち2点を陽極・陰極に設定する。この陽極・陰極の位置の選択によって、舌の特定位置への味覚提示を行う。この提案によって味覚生起位置が変化するかの評価として、頭部の電位分布のシミュレーションとともに、被験者評価による味覚生起位置の調査を行った。シミュレーションと被験者評価から、シミュレーションでは差があった舌の上下方向への味覚生起位置の移動に関しては被験者評価では有意な差は生じなかった。一方、舌の前後方向および左右方向において、左頬に陽極刺激が配置されている場合は舌左側に味を最も強く感る点が偏り、顎など舌尖付近に陽極刺激が配置されている場合は舌尖付近が味を最も強く感じる点が偏るというように、陽極刺激が提示される位置付近に味覚が生起されることが示された。結果、これまで化学物質の提示では非現実的だった舌の任意箇所への味覚提示が行えることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況の理由として、まず本研究の基盤の一つとなる任意位置への刺激制御技術を確立できたことが挙げられる。本年度に確立した技術をもとに、増強・抑制の効果の検証などが実施できるためである。現在被験者調査が行いにくい状況ではあるが、次に実施する内容への準備などもおおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、口腔内並びに咽頭の任意の個所での味覚増強・抑制の評価を実施する。そのうえで、現状得られている空間分解能をさらに向上させることが可能かを評価し、時間分解能の評価を行う。
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